+ 肆 × 桜子 + ページ5
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奇妙な入学式を終えると解散となり 、 隣の彼が行ってしまう前に学ランの袖を摘んだ 。
「 ん ? どうかしたのかい ? 」
「 あのっ 、 えっと …… 教室までご一緒してもよろしいでしょうか … ? 」
「 もちろん構わないよ 、 さぁ行こうか 」
紳士的に爽やかな笑みを浮かべた隣の白いフードの彼は私の手を優しく握って ……… えっ 、 と彼を見上げると変わらぬ笑顔があるだけ 。
「 っ 、 この手は … ? 」
「 可愛い君がまた絡まれないようにね 」
「 っっ …… 君ではなくお名前を 、 あっ 」
「 あはっ 、 そうだね 。 僕は上杉謙信 、 よろしくね 」
「
「 桜子ちゃんと呼んでいいかい ? 」
紳士的で爽やかだけどキザな上杉さんは女の子のツボを熟知しているのか 、 言葉巧みに距離を縮めてくる 。
人柄の良さと相俟って拒絶することは出来ない 。
「 それで何か僕に用があったんじゃないのかい ? 」
「 ! はい 、 助けてくださったお礼をしたいのです … ! 」
「 お礼 ? 律儀だね 、 でも僕は別に …… 」
「 どうか私の思いを汲み取ってくださいませんか ? 」
「 ………………… 時間をくれるかい ? 」
強引に話を押し進め 、 本題を伝えることが出来て満足していると丁度教室に着いた 。
不良高校における女子生徒の稀少性ゆえに好奇の視線を感じて少し怖くなって上杉さんの方に寄って歩く 。
「 僕の隣においで 、 ……… 女の子に不躾な視線を送る男なんて気にしない方がいい 」
「 おい上杉テメェ 、 誰に向かって言ってんだ 」
「 おや僕は誰とは言っていないがね ? 」
「 あ … ! ? そもそも初日から女誑し込んでるテメェには言われたくねぇよ 、 このスケコマシ野郎 ! ! 」
「 僕と彼女はそういう関係じゃない 、 ね ? 」
自由席に困っていると隣の席の椅子を引いてくださった上杉さんのお言葉に甘えて壁際に着席する 。
爽やかに笑む彼のおかげで気持ちが落ち着いた 。
しかし同時に優しい言葉とは裏腹に 、 教室内の視線に注視した一言で4人組がこちらを睨めつけてきた 。
正確には上杉さんの方 。 私は彼の言葉に頷くことしか出来なかった 。
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あめ??(プロフ) - 続きが見たいです!是非続編でもいいので、作っていただけると嬉しいです! (5月7日 23時) (レス) @page27 id: 3d269f0d91 (このIDを非表示/違反報告)
静波紅音 - これで終わりなんて寂しすぎます!!!続きが見たいです!! (9月25日 9時) (レス) @page27 id: 664202b07f (このIDを非表示/違反報告)
SugaR?(プロフ) - とっても面白いはなしで大好きです!頑張ってください楽しみにしてます!! (2022年10月2日 17時) (レス) @page11 id: 0fe5d9de4b (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2022年9月26日 21時) (レス) @page3 id: b848bb5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十日夜香耶 | 作成日時:2022年9月25日 0時