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「 近いですっ 、 上杉さん …… ! 」

「 すまない 、 」



恥ずかしさのあまり金魚のようにぱくぱくと口を動かす可愛らしい桜子に特進男子達は思わず緩んでしまう口元を覆う 。

同時に下心はない … 恐らく下心はないと思われるが 、 桜子を抱き締めた上杉を羨ましく思う 。
そしてほんの少しだけ … 否 、 かなり嫉妬した 。



「 …… 泣いたのかい ? 」

「 なッ 、 泣いてません ! 」

「 ハッ 、 ウソが下手だな 」

「 言うなよ 、 カワイソーだろ … ! 」

「 誤魔化そうと一生懸命なんだよ … ! 」



ほのかに赤い目元に人差し指を沿った上杉の問いを否定した桜子に井伊 、 酒井 、 榊原が揶揄う 。



「 頬の怪我も痛ましい … 心做しか顔が真っ赤だ 」

「 赤くなってなどおりません …… ! 」

「 桜子ちゃんは照れ屋さんやなぁ ♡ 」

「 うむ 、 まるで真っ赤に熟れた林檎のようじゃ 」

「 可愛いな … アッ ! 違う 、 いや違くないけど 、 」



両頬を掌で包み込んだ上杉はそのままそっと腫れている部分を優しく撫でた 。

更なる羞恥心で頬を紅潮させていく桜子に秀吉がハートを散らし 、 毛利が首肯し 、 前田が墓穴を掘った 。



「 もうやめてくださいまし … ! っ 」

「 ! すまない … 心配のあまり配慮が足らなかったね 」

「 …… やはり頬が痛むのか ? 」

「 いた … くありません ! 」

「 ウソを言うな 、 ウソを 」



喋ることで痛む頬を抑えた桜子は上杉や伊達が心配の声をかけると迷惑をかけまいと我慢する 。

が 。 背後から頬を冷やされ 、 思わず肩を跳ねさせる 。 痛ましく腫れた頬には黒田が保健室で調達したであろう氷嚢が当てられていた 。



「 女性が顔に傷を残すのは良くないだろう ? 」

「 ありがとうございます 、 黒田さん 」

「 礼は要らん … 面白いものを見せてもらったからな 」



そう言って悪戯げに笑む黒田に何のことかと問えば 、 彼は女子生徒を倒した時のことだと笑みを深めた 。

あの瞬間 、 桜子はスティック状の口紅で件の女子生徒のこめかみを一撃で狙って昏倒させたのだった 。



「 さすがに紅を用いるとは予測出来ん 」

「 ありがとうございます … ? 」

「 しかし危険を冒すのは控えた方が良い 」




褒め言葉の矢先 、 特進男子達の言葉を代弁するような指摘に桜子はしゅんとして小さく返事した 。

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静波紅音 - これで終わりなんて寂しすぎます!!!続きが見たいです!! (9月25日 9時) (レス) @page27 id: 664202b07f (このIDを非表示/違反報告)
SugaR?(プロフ) - とっても面白いはなしで大好きです!頑張ってください楽しみにしてます!! (2022年10月2日 17時) (レス) @page11 id: 0fe5d9de4b (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2022年9月26日 21時) (レス) @page3 id: b848bb5ef6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十日夜香耶 | 作成日時:2022年9月25日 0時

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