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《 初の公認旗印が出ました 。 旗印提出は … 》
突如鳴り響いた法螺貝の音と共に 、 教室のスクリーンに映し出された魔村に再び教室は騒然とし始めた 。
《 1年C組 大沢一郎くん 》
オレンジ色のジャージを着た男子 、 お世辞にも強そうとは言えないような生徒が旗印を掲げた 。
《 " 2 時 間 以 内 に 武 田 信 玄 を 倒 す " 》
甲斐の虎と呼ばれ 、 15歳にして甲州街道沿いの暴走族を束ねたという逸話を持つ彼 、 武田信玄を倒せるとは到底思えない 。
特進クラスでは旗印を掲げた大沢一郎へ大ブーイングが起こっていた 。
《 尚同じ旗印が出ました 。 合計205本 》
教室のスクリーンには合計205本もの旗印を掲げた生徒が分割された画面で映し出された 。
秘書の魔村が言うには個に対して多が旗印を提出するのは可能なのだそう 。
「 そんなの正々堂々とは程遠い …… 」
「 随分と卑劣な真似をなさるのですね … ? 」
「 それで良いんだ …… それが戦なんだよ 」
圧倒的な人数差に驚愕したみやびと桜子が思わず呟くと武田は真剣な表情で言った 。
示し合わせたような旗印に上杉が考え込んでいると 、
「 まさか 」
「 おいおい … え ? 何 、 俺が他の連中に武田を倒す旗印を出せって唆したとでも ? おいやめてくれよ ! 」
分かりやすく全貌を語り出した井伊を筆頭にした彼等は嘲笑うように武田に言葉をかけた 。 が 、
為せば成る … 為さねば成らぬ 、 成る業を
そう言って武田はおもむろに立ち上がり 、 白い特攻服を翻して戦う為に教室から去っていった 。
旗印戦の開幕を知らせる法螺貝がまた鳴り響いた 。
合図を皮切りに教室内の椅子を引き 、 我先にと言わんばかりに前に集まった 。
「 桜子ちゃん 、 前においで 」
「 上杉さん … 武田さんは 、 」
「 心配することない 、 武田は強いから大丈夫 」
不安そうな桜子を見てか 、 武田のライバルである上杉が励ますと彼女は小さく頷いて前の席に移動した 。
しかし彼女の顔が晴れることはなかった 。
「 みやびちゃん ? 」
「 っ 、 みやびさん … 」
困惑した様子の秀吉の声に振り返ると制服のスカートがひらりと翻る後ろ姿が見えた 。
悲しげに瞳を揺らす桜子はみやびから目を逸らした 。
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あめ??(プロフ) - 続きが見たいです!是非続編でもいいので、作っていただけると嬉しいです! (5月7日 23時) (レス) @page27 id: 3d269f0d91 (このIDを非表示/違反報告)
静波紅音 - これで終わりなんて寂しすぎます!!!続きが見たいです!! (9月25日 9時) (レス) @page27 id: 664202b07f (このIDを非表示/違反報告)
SugaR?(プロフ) - とっても面白いはなしで大好きです!頑張ってください楽しみにしてます!! (2022年10月2日 17時) (レス) @page11 id: 0fe5d9de4b (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2022年9月26日 21時) (レス) @page3 id: b848bb5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十日夜香耶 | 作成日時:2022年9月25日 0時