五話 ページ6
今回の事件は、とある駐車場から飛び降り自さつをした可能性のある会社員の遺体が発見された。
僕は、自さつじゃないと踏んでいる。
何故なら、匂うからだ。
バディの日比野さん言うと怒られてしまったが間違いないと思っている。
今日は日比野さんと被害者西田さんの自宅へ足を運んでいた。
家族はまだ彼の死を受け入れる事ができず苦しんでいた。
そんな様子を目の当たりにし、まるで過去の自分達と、被害者の娘ゆきなちゃんが重なり合った。
日「これで気が済みましたよね。聞き込みに行きましょう」
話を聞き終わり、家を出た僕達はエレベーターへ乗り込もうとしていた。
娘「刑事さん!!」
僕達を呼び止めたのは、ゆきなちゃんだった。
龍「どうしたの?」
彼女の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。
娘「パパは....、自分で死んだりなんかしない。きっとね、きっと....、誰かに殺されたんだよっ!」
彼女は大きな瞳に沢山の涙を溜め込んでいた。
龍「どうしてそう思うの?」
娘「だって....、もうすぐゆきなの誕生日だもん。パパと一緒にプレゼント買いに行く約束してたもん....っ!パパを殺した犯人を捕まえてっ!お願いだからっ....」
ゆきなちゃんは涙ながらに必死に訴えた。
日「ゆきなちゃん....」
娘「捕まえてくれないなら、私が探す。きっと探し出して.......っ、私が殺してやるっ!」
僕は彼女の瞳をまっすぐに見据えた。
まるで、幼い頃の自分を見るかのように。
娘を追って来た母親は彼女に縋るように抱きつき涙を流し続けた。
握る拳に力が入る。
本当に僕達に似てるな.....。
だが、僕達のような人生を送らせないためにも、この事件は解決しなければいけない。
そう強く感じだ。
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作者名:翠晶 | 作成日時:2022年1月5日 0時