ウロボロス (ページ32)

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三十一話ページ32

イクオと別れ事務所に戻ると深町達があたふたとしていた。

部屋の奥を見ると、Aとイクオの相棒が話している姿が見えた。

深「すいません。あの女、第二署の刑事なんですがAさんと竜也さんに合わせろとしつこくて」

俺はその言葉を聞き流し部屋に足を踏み入れた。

私「あ、おかえりなさい」

ほっとした笑みを浮かべたA。

段「お待たせしました。で、刑事さんが俺に何か」

俺は鋭い瞳を女に向けた。

日「殺害された中塚葵さんの件ですが。貴方がキャバクラマーメイドの実質的なオーナーだと伺ったので。死亡推定時刻の午後5時の数時間前、あなた方が葵さんと会っていたという証言が取れてます」

Aはチラリと俺に視線を向けた。

段「で？まさか俺を疑ってるのか」

日「葵さんと会った後、貴方はどちらに？」

俺の視線にも怯むことなく話を続ける女に内心でニヤリと笑った。

段「任意って事ならノーコメントだ」

今度は女がふっと笑った。

まるで嘲笑うよに。

日「やっぱりヤクザですね。自分の店の女の子が殺されたのに少しも気にしてない。彼女は2年前に両親を亡くしてます。違法な闇金の取り立てで追い詰められて....」

段「だから？」

日「亡くなった彼女の家族のためにも、仇はとります。私は貴方方みたいな人の道から外れた人間を野放しにはしないから」

今にもつかみかかってきそうな勢いで睨みつけてくる女に俺
は距離を詰めた。

段「俺はね、警察なんか信用してないし大っ嫌いなんだ。でも、中に入るんだな。あんたみたいなまともな刑事も」

日「皮肉ですか」

段「本心だよ。送って差し上げろ」

深町は女を連れて事務所を出た。

私「随分と気に入ったようですね。」

静かな部屋に、低い声が響いた。

段「はっ、妬くなよ。女に興味はねぇよ。....お前以外な」

そういい、彼女の頬に触れた。

私「.....、どうだか。仕事に戻ります」

相変わらず険しい表情をしたまま部屋を出た。

むず痒い気持ちに蓋をして俺は奴の元に向かう。