ウロボロス (ページ30)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:1,986 hit

二十九話ページ30

寂れた商店街。

Aの記憶と情報を元に奴に会う為ここまできた。

私「この辺りだったと思う....」

少し不安げな様子で辺りを見渡す。

段「そうか、お前やっぱここで待ってろ」

私「やだ」

段「はぁ....、ガキか。待ってろよ」

私「やだ。行く」

段「....、たく....離れるなよ」

深町を待たせ、聞き分けのないAを連れて薄汚い路地を入って行く。

彼女の案内に従って行くと、劉と書かれたポストが現れた。

俺たちはゆっくりと顔を見合わせた。

そして扉を開け、そっと中に入る。

古びた部屋の中に、一人机に向かう男がいた。

段「"あんたが劉宗鉉(りゅうそうげん)か”」

中国語で尋ねる。

劉「"そうだが”」

相手も中国語で返してくる。

私「日本語でも大丈夫なはずでよね？」

俺の後ろからひょこりと顔を出すA。

彼女の顔を見た途端に、頬を緩ませるじいさん。

劉「おぉ！この間のお嬢さん！傷はもういいのかね」

私「はい、お陰様で」

劉「それで、今日はどこを治療して欲しいんだね？」

段「20年前にぽっかり空いた胸の傷だ...」

俺の解答の奴はポカンとした表情を浮かべていた。