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二十七話 ページ28

何日かし、やっと出勤出来ることとなった。


竜也からはまだ休めと反対されたが、何とか押し切った。


深「おはようございます。もう体調宜しいんですか?」


私「おはよう。お陰様で!ありがとうございました!」


深町さんと久しぶりの会話を交わした。


段「今日はすぐ出る」


深「車回して来ます」


いつも気がきくなぁと、彼の後ろ姿を眺めた。


そういえば....。


私「今日は"あいつ"の所だったよね....」


"あいつ"の顔を思い浮かべただけで胃がムカムカとしてきた。


段「お前は会わなくて良い。車で待ってろ」


私「えっ、でも....」


仕事だからと言葉を続けようとするも竜也からの無言の圧により飲み込んでしまった。


段「行くぞ」


ぽん、と私の頭を撫でた彼に胸がきゅっと締め付けられた。



私は、竜也に言われた通り車で大人しく待っていた。


ぼーっと、外を眺めせかせかと歩く人達の中に見知った顔を見つけた。



私「葵ちゃんっ!」


車の窓から彼女に声をかけた。


葵「?....、あっ、Aさん!」


可愛らしい笑顔を浮かべ駆け寄ってくる姿に、自分の頬も緩む。


私たちは似た境遇だった為、仲良くなるのに時間は掛からなかった。


私「仕事終わり?」


葵「はいっ!これからご飯食べに行く所です!あ、久しぶりに一緒にどうですか?」


思わぬお誘いに、私はルンルンでついて行った。


ついた先は、私たちが初めて出会った喫茶店だった。


葵ちゃんはオムライス、私はコーヒーを注文した。



オムライスが運ばれてくるなり、大きな口でもぐもぐと食べる姿は相変わらずだった。



私「ねぇ.....、何か良いことあった?」


私がカマをかけると、葵ちゃんは食べていたオムライスを喉に詰まらせゴホゴホと咳き込んだ。


葵「何で分かったんですかっ、ゴホっ」


私「んー....、表情が柔らかくなったかな?」


少し照れた様子で話し始めた。


葵「実は....、私と家族を作りたいって言ってくれる人が出来たんです」


恋する乙女はとてつもなく可愛いな.....。


私には縁がない話だが....。



そんな話をした数日後に、葵ちゃんは帰らぬ人となった。



私「竜也....、私絶対見つける....。葵ちゃんの未来を奪ったやつ.....、見つけて殺してやる......っ」


ぎりっと奥歯を噛み締めた。



あんな可愛らしくて、心優しい葵ちゃんがっ.....!


段「お前に一人にはやらせねぇよ。一緒に見つけるぞ。」



その竜也の言葉に深くうなづいた。

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設定タグ:ウロボロス , 段野竜也 , 小栗旬   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:翠晶 | 作成日時:2022年1月5日 0時

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