二十話 ページ21
その日の夜、僕は石森さんを沢渡の殺害現場へと呼び出した。
夜は静まり返り、電車が通る時ぐらいしか音が鳴らない様な道だ。
石「なんだよ、こんな所に呼び出して」
龍「ご足労頂きすみません」
2人の声は静かな路地裏にこだまする様に響いた。
石「で?沢渡の件で話ってのは」
龍「実は、滝川が捌いていた覚醒剤の件でで面白い情報を入手したんです」
石「面白い情報?」
龍「はい、市場に出回っている覚醒剤って大抵は他の薬を混ぜてあったりするんでよね」
石「タチの悪い売人だと、ブランデーや水やら吹き付けて重さをサバ読んでるクズネタもあるな。逆を言えばそのおかげでネタ元を特定出来んだけどよ」
龍「流石!お詳しいですね!なら、滝川が捌いていたネタの出どころは確定です。あれは去年、四谷北署に摘発されて潰れた組が扱っていた物と全く同じ物でした。ネタ元は....貴方ですよね石森警部」
石「参ったな....、何でわかった」
確信をつかれた様子の石森さんは素早く拳銃を抜き僕へ向けた。
そんな事に動じる事なくを続ける。
龍「鼻が効くんですよ、僕。だからあの時...、だからわかったんです。覚醒剤中毒者特有の甘酸っぱい香。滝川と組んで覚醒剤流してたのはあんただ。それに、西田さん殺害も」
石「あいつに気づかれたのは偶然だったんだ。
あの西田って野郎、最初は倉庫にあったチャカを見つけたんだ。カタギのくせに馬鹿な正義感出して、滝川の事つけやがってよ。で、結局俺と滝川の関係までしっちまった。俺と滝川の関係は舎弟連中にも口止めしてたんでな。始末するときは仕方なく俺も手伝わされてよ。しかし、まさかあの車乗泥に見られてたとわな。後あのお嬢ちゃんもよ」
”あのお嬢ちゃん”とは誰のことを指してるのかすぐにわかった。
龍「お嬢ちゃん....?」
溢れ出す怒りを必死に堪え、話を聞き出そうとした。
石「沢渡を拉致る所を見られちまってよ。しかも俺のこと知ってやがったんでな。なに、ちょっと痛めつけてやっただけだよ。死んじゃいねぇよ、多分な」
龍「でも、沢渡の事は自さつに見せかけて殺したんですよね...」
今すぐにでも殴りかかりそうな目をしながら石森さんへと詰め寄った。
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翠晶 | 作成日時:2022年1月5日 0時