ウロボロス (ページ16)

今日:20 hit、昨日:3 hit、合計:2,003 hit

十五話ページ16

病院へ着くと警官達に怪しまれないよう誤魔化しながら病室へ入り込んだ。

静かな表情で眠るゆきなちゃんの手を強く握りしめ、早く目が覚めるよう祈るった。

私「貴女達を守れなくてごめんなさい.....」

そうつぶやくと、思わず涙が一つ、二つこぼれ落ちた。

ゆ「お姉ちゃん.....、どうして泣いてるの....？」

突然声をかけられた私は俯いていた顔を上げた。

私「目が覚めたのね....、よかった。お姉さんはね、お父さんのお友達なの」

ゆきなちゃんは大きな瞳で私を見つめ、だまって話を聞いた。

私「辛い話だけど、お母さんも亡くなってしまったの...。でも、犯人は捕まえた。ちゃんと罰も下る」

ポロポロと流れ落ちるゆきなちゃんの涙を優しく包み込む。

こんな幼い子に、酷な現実を突きつけるのは心が本当に痛んだ。

雪「辛いよね...。貴女の気持ちはよくわかる。私も大切な人を奪われてしまったから.....」

ゆ「犯人は捕まった？」

静かに首を横に振る。

私「警察は見つけてくれなかったの。だから自分で探してる、この手で罰を下すために....」

私の話を聞きながら涙をこぼす彼女を優しく抱きしめた。

私「悪い奴は、絶対に捕まる。だから....、ゆきなちゃんは強く、真っ直ぐ生きてね.....」

その言葉とプレゼントを残し、病室を後にした。