十三話 ページ14
部屋に入ると、二人組の刑事が並んで座っていた。
2人を一瞥し、俺はいつも通り椅子へ腰掛けた。
段「お待たせしました...。で、どんなご用件で」
1人の刑事は薄ら笑いの不気味な野郎だった。
蝶「半田組の滝川がやられた件でちょっとおたくの動向が気になったもんでねぇー。警戒しなくていいからそんなゴツい用心棒はいらねぇよ」
段「用心棒....？あっ、彼はうちの顧問弁護士ですが」
隣に立ってる男へ視線を向けた。
佐「佐藤ダグラス健太郎です。よろしく」
用心棒の様な弁護士は悠長な日本語で挨拶を交わす。
その様子に刑事2人は驚いた様子で名刺を受け取った。
段「半田組の件、ニュースで見ましたよ。今時天然記念物並みのヤクザっぷりだったみたいですね」
蝶「つまり半田組は自滅したって言いたいのか」
段「.....、違うんですか？」
刑事特有の言い回しに心の中で舌打ちをした。
蝶「この状況で一番得したのはこの松江組だと俺は思うんだが。そうなると滝川が殺しに一枚や二枚噛んでる可能性だってあるんじゃないか？」
段「何かそういう証拠でも？」
蝶「ふっふふ....、ないなぁ？」
刑事らはおちゃらけた様子で目を合わせそう答えた。
段「うちはお巡りさんに協力しても、敵に回すような危ない真似はしませんよ」
蝶「ヤクザは信用できないねぇ、お前は特に」
段「どうしてです」
蝶「嘘をつき慣れてる顔してっからよ。見え見えだ」
俺達は怪しい笑みを交える。
お互いの思考を探り合うかの様に。
段「おかえりだ」
俺は扉を開けそう言い放った。
深「お送りします」
すぐさま駆け寄ってきた深町。
蝶「結構。ほぉ...、松江組の若頭ともなるとこんな華麗な秘書が付くのか。羨ましいな限りだ」
Aを舐める様な視線で物色し、笑いながら事務所を出ていった。
その後ろ姿にAは黙ってお辞儀をした。
俺はその様子にさえも腹が立ち無言で部屋へ戻った。
その後を追う様にしてAも入ってきた。
私「何の話だったの？」
段「見え見えか....、結構凹むな」
私「へ？」
段「あの刑事、俺が嘘つき慣れた顔してるってさ。そんな分かりやすいか？」
私「そうね、私は昔から知ってる仲だから分かるわよ。まぁ、あの刑事もそうなんだよきっと」
段「似た者通しって事か....」
私「そうかもね。あ、沢渡くんから聞いた情報何だけど....」
Aから聞いた情報を元に今後の作戦を練る事にした。
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作者名：翠晶 | 作成日時：2022年1月5日 0時
