ウロボロス (ページ11)

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十話ページ11

Aが出ていった後の部屋はいつもよりも広く、そして静かに感じた。

_トントン

深「失礼します」

深町が部屋へ入ると、静まり返った部屋にはテレビから流れるニュースキャスターの声だけが寂しく響いていた。

険しい表情ですタバコを吹かす。

「こちら、大量の拳銃が押収された坂東運輸の倉庫前です。警察の調べによりますと、坂東運輸の経営には指定暴力団の二次団体半田組が関与しており密売目的で....」

テレビの中のニュースキャスターが神妙な面持ちで告げたその内容に、深町はじっとテレビを見つめた

深「これで半田組も終わりですね」

段「まぁな」

深「昨日の夜、滝川がてめぇのマンションの駐車場でやられてたみたいですが...」

段「俺がやった」

深町の言いたい事は察したので、彼の言葉に被せるように答えた。

深「ご苦労様です」
　

俺の返答を表情も変えずに受け止めた。

段「まだ終わっちゃいねぇけどな...」

そう、含みのあるトーンで話す。

深町は言葉を発することは出来なかった。

そんな深町の事などお構いなしに、懐からあるものを取り出した。

深「シャブですか」

段「滝川の持ってたブツだ。調べとけ。それと、買い物一つ頼まれてくれないか」

深町はさっそく、調べ物と頼まれた買い物を済ませるため事務所を後にした。

一人残された部屋には、タバコの煙が寂しげに宙を舞っていた。