12話_貴女 ページ13
入った先は、作業部屋のようだった。
様々な薬草、書物、器具。
ニュ「君は毒に弱いらしい。僕らとは体質が違うんだ。」
ニュートは手際良く薬草を調合し彼の傷に当てる。
そして薬も手渡した。
『もっと早く飲ませてあげればよかったのに...。』
ニュ「見張が厳しくてね。」
ニュートは突然大きなチョッパーナイフを取り出し肉を真っ二つにした。
バケツに放り込みコワロスキーさんに手渡す。
『その子....。』
彼の手に握られている子が気になった。
ニュ「スーピング・イーヴル。空飛ぶ悪魔だよ。物騒な名前だよね。動きが素早いんだ。研究の結果、こいつの毒は薄めれば薬になることがわかった。嫌な思い出を消してくれるんだ。」
相変わらず魔法動物のことには饒舌な様。
『嫌な思い出を消してくれる....。』
思い出を消す。
消してしまえば、楽になるのか.....。
ギュルルッ、ギュル!!
そんな考えを吹っ飛ばす様に、その子が飛んできた。
私もコワロスキーさんも声を上げることも出来なかったが、ニュートは満足そうだった。
ニュ「来て。」
彼について部屋の扉を潜り抜けると、そこには目を疑う様な景色が広がっていた。
ニュ「おいで!降りといで!」
彼の視線の先を手繰ると、そこにはサンダーバードがいた。
ニュ「よーし。それにしても助かったよ。お前が逃げてたらとんでもないことになってた。アメリカに来たのはこいつのためなんだ。」
優しい目つきでサンダーバードに触れるニュート。
『どうしてサンダーバードがここに?』
ニュ「こいつは密輸されたんだ。エジプトで鎖に繋がれてた。見過ごせなくて連れてきた。元の世界に帰してやるからな....。アリゾナの大自然の中に。」
私はそっと彼に近づいた。
キューッ
甘えた様な鳴き声をあげる。
ニュ「驚いたな。フランクは人見知りなのに。」
『フランクっていうのね。素敵な名前をもらったのね。』
フランクは私の目をしっかりと見据え、心を開いていい相手見定めている様だった。
そして、ゆっくりと私の前に頭を差し出してきた。
ニュ「撫でてあげて。」
『貴方も辛い思いをしたのね....。』
フランクから暗く、重たい感情が私に流れ込んでくる。
それと同時に、暖かい柔らかな感情も入り混じっている。
『そう...。ニュートに救われたのね。』
優しくフランクの頭を撫でる。
ふさふさとした毛並みに心が癒されていく様だった。
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翠晶(プロフ) - さらさん» はじめまして!お読みいただきありがとうございます(´∀`)完結を目指して頑張ります!最後までお付き合いいただけると幸いです!! (2月13日 8時) (レス) id: f9746187d0 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!このお話めっちゃ大好きです!!もうニュート格好良いです!!完結まで、応援してます!!続きも楽しみにしてます!!更新頑張って下さいね!! (2月10日 23時) (レス) @page17 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翠晶 | 作成日時:2024年2月3日 22時