五話 ページ6
来生くんの表情がいつになく真剣に見えた。
来「そっか。じゃあ。」
そう言うと私の腕を取り執務室から出た。
私は天堂くんの顔を見る事なく部屋を出た。
私は来生くんに手を引かれるまま誰もいない病室へと引き込まれた。
来「.....、ごめんね、勝手なこと言って。泣かないで？」
私は気づかないうちに泣いていたらしい。
そんな私の涙を来生くんが優しく拭ってくれた。
来「俺、今まで黙ってきたけどもう無理かも。」
私「え....？」
私たちが目を合わせた瞬間に時間が止まった様な感覚に陥った。
今まで見たこともない彼の表情。
来「好きだよ。あみ。天堂の事一途に思い続けるあみの事が好き。だから、俺のことも見て？」
今まで何故気付かなかったのだろう...。
彼の思いに。
来「すぐにとは言わない。少しずつでいいからね？」
そう言うと、私の頭を優しく撫でて病室を出て行った。
私の目からは涙が止めどなく溢れ続けた。
自分の感情がごちゃごちゃに絡まっていくのをひしひしと感じた。
緊急も今のとこないから少し目の腫れが引くのを待ち病室を出た。
私「....っっうわっ！！？」
誰もいないと思っていたら廊下には天堂くんが壁に寄りかかる様にして立っていた。
私「え、なにしてるの....？」
泣いてたのバレてないといいなぁと思いながら彼に声をかける。
天「お前、来生と付き合ってんのか？」
チラッと私の顔を見て床へと視線を戻した。
私「.....、付き合ってはいないわよ...。」
告白はされたけど。と心の中で言葉を繋げた。
天「.....、飯行くぞ。」
白衣をなびかせ颯爽と去っていこうとする彼を慌てて追った。
私「でもっ、まだ勤務時間っ...。」
天「その顔じゃ患者のとこに顔出せないだろ。」
私「うっ....。」
やっぱりバレてたか.....。
私「ごめんなさい....。」
天「たまにはサボるのもいいだろ。」
天堂くんが悪そうな笑みを浮かべた。
なんだか、久しぶりに見るその笑顔に私の心臓は高鳴った。
来生くん、ごめんなさい。
私はやっぱり、天堂くんが好きです....。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 979人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠晶(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！！ (2020年3月11日 20時) (
レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 翠晶さん» とても素敵なお話でした…!! ありがとうございました！ これからも作品、応援してます！ (2020年3月9日 1時) (レス) id: 12651b5551 (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - ayaさん» 最後の一話分だけアップが遅くなってしまい申し訳ありません！！お気に召して頂ければ幸いです！今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月8日 22時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 翠晶さん» ありがとうございます！！！ とても素敵なお話…。感謝です！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 12651b5551 (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - ayaさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！リクエスト承知しました！！明日には載せられると思いますので是非読んでください^_^ (2020年3月7日 21時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠晶 | 作成日時：2020年2月15日 21時
