四十一話 ページ42
その日の夜、私の家に天堂くんは居た。
天「あみの手作りのご飯なんか久しぶりだな。」
心なしか嬉しそうな彼に私はほっとした。
人に食べさせるご飯なんて久しぶりだったから...。
私「大したものじゃ無いけど。.....、そういえば、みのりに妹が居たなんてびっくりだよね。」
私は天堂くんの反応を伺う。
天「あぁ。.....、でも、みのりじゃない。別人だ。だから、心配するな。」
私「え...、何で心配してるって....。」
彼は箸を止め、私の目を見据えた。
天「お前の考えてる事なんてお見通しだ。あからさまに心配そうな顔してたろ。」
何だかんだ、ちゃんと見てくれてたんだ...。
私も箸を置いた。
私「心配だった。私......、何というか、天堂くんと付き合えたって、思い合ってるって実感が湧かなくて...。昨日の今日だったから、そんな実感湧かなくて当然なのかも知れないけど...。そんなとこに、みのりに瓜二つの妹が出てきたら、そりゃ....、不安にもなるよ...。」
天「....、言っただろ。お前が好きだって。その言葉だけ信じてればいいんだよ。深く考えすぎだいつも。」
素っ気ない態度だが、言葉からは表しきれない暖かさを感じた。
天「それと、呼び方。」
私「呼び方...？あ、天堂くんってやだ？」
天「...、恋人同士でくん付けるの変だろ。」
恥ずかしいのか、そっぽむいてしまった彼に私は微笑んだ。
私「浬....。」
8年近く一緒にいて、初めて呼んだ下の名前。
ずっと呼びたかった、彼の名前....。
天「ふっ、顔赤いぞ。」
私「っえ！？やだっ、見ないで！」
私は両手で顔を隠した。
そりゃ赤くもなるよ....、こんな素敵な彼を前にしたら....。
天「どけろ。」
威圧感のある声に渋々手を下ろすと唇に何かが触れた。
それが彼の唇だと言うことに気がつくまでに数秒かかった。
天「...、ちょっとは安心出来たか？」
私は頭が真っ白になり、彼の言葉に頷くことしかできなかった。
天「ふっ、また赤いぞ。」
私「かっ、浬のせいでしょ！」
私はやけくそでご飯をかき込んだ。
その後は、浬とゆったりと夜を楽しんだ。
彼のお陰で、心に重く沈んでいた感情はいつの間にか消え去っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 979人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠晶(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！！ (2020年3月11日 20時) (
レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 翠晶さん» とても素敵なお話でした…!! ありがとうございました！ これからも作品、応援してます！ (2020年3月9日 1時) (レス) id: 12651b5551 (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - ayaさん» 最後の一話分だけアップが遅くなってしまい申し訳ありません！！お気に召して頂ければ幸いです！今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月8日 22時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 翠晶さん» ありがとうございます！！！ とても素敵なお話…。感謝です！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 12651b5551 (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - ayaさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！リクエスト承知しました！！明日には載せられると思いますので是非読んでください^_^ (2020年3月7日 21時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠晶 | 作成日時：2020年2月15日 21時
