下剋上その３ ページ4
「いやいやいやいや。テメェ何言ってんだ？」
『だぁかぁらぁ！あのクソ野郎共をぶん殴ってやろうって言ってんの！アイツら私の可愛い可愛いご尊顔を傷付けやがって…バチ殺しにしてやる』
「はァ？」
『まだ分かんない？まさかオニイサンもあのカス共みたいに筋肉が頭に詰まってるわけじゃないよね？』
「アイツらと一緒にすんな」
『だよね！そうこなくっちゃ！』
そうと決まればアイツらをボコすための作戦を練らなければ！
私はパッと布団から出て、着ていた着物を整える。
そこで思い出したように、アッと声をあげた。
『オニイサンって呪霊見えないんだよね？全く持って』
「あ゛？」
おっと、どうやらこれは地雷らしい。
青筋を立てたナイスガイに私は即座に謝ると、ナイスガイは溜息をついて「そうだ」と答えた。
「…テメェの言う通り、全く持って見えねえよ。呪いを見る素質すらねえんだ…笑えるだろ」
『うん。ウケるね。それ最高』
「は？」
『呪霊と目が合わないってことでしょ？そんなん利用しなきゃ損じゃん！』
「…はっ？」
『それじゃあオニイサン！段取りが決まったら教えるね！私お夕飯の支度手伝わなきゃいけないから！』
「ちょっ、ちょっと待て！オマエ、本当にやる気───」
あーあーあー、聞こえない聞こえない。後ろから飛んでくるナイスガイの声なんか無視して、私はかけ足で厨房へと走っていった。
「う、嘘だろ……」
気付いたら意味わかんねえガキの意味わかんねえ話にのることになっちまった。
ガキの消えていった廊下の曲がり角を放心したように見つめていると、その曲がり角から誰かがやってくる足音がしたため、急いで部屋の戸を閉める。
あの足音は兄弟の甚壱だったが、今はそんなことどうでもいい。今の甚爾の思考を占めるのは、オニイサンと呼んできた変な女のガキのことだった。
『アイツらボコろうぜ！！』
馬鹿言ってんじゃねえ。あの野郎共をボコっても、一時的に気が晴れるだけだ。
甚爾とて抵抗をしたことがないわけではない。だがボコったその後待っているのは、重い折檻だと言うのを知っていた。
「呪霊が見えねェことがいいことなわけねえだろ……」
脳内で反芻されるガキの言葉の数々。だがガキの言葉を思い出しても、あまり悪い気がしないのは自分がおかしいのだろうか。
……ひとまず、あのガキの次の行動で決めよう。
甚爾はそう心に決め、外の世界と繋がりを断つように目を閉じた。
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アリス(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです( ˙˘˙ ) (2022年3月10日 23時) (
レス) @page14 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ボーダーラインさん» そう言って貰えて嬉しいです！応援ありがとうございます！頑張ります！ (2022年3月10日 17時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - キャプションで食いついて一気に拝読させて頂きました。あー主人公の性格好き！「下剋上して♡」の団扇とペンラを振りながら読んでしまった…。甚爾に最後で爆弾を投下していくスタイル、いいですねぇ。五条との邂逅も気になる〜！ペンラ振って更新待ってます！！ (2022年3月10日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！がんばります！ (2022年3月9日 18時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 更新待ってます！！ (2022年3月9日 5時) (レス) @page8 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝋燭 | 作成日時：2022年3月7日 21時
