下剋上その10 ページ11
『───ってことで、アンタら片方は生かしてあげるよ』
私の言葉に、ウンコ野郎共はサーッと顔を青ざめさせる。さすがにやり過ぎかな、と思ったが、出る杭は打っておくに越したことはない。
あとこいつら普通に嫌い。
「っ、ふざけんじゃねえ!!女風情が俺らに牙を剥きやがって…どうなるか分かってんのか!」
『どうなるの?当主の狸爺とか扇のオッサンに告げ口でもするつもり?』
「死体は喋んねえってオマエ言ってたろ」
『ハァ………オニイサン揚げ足取りとか嫌われるよ』
「あ?」
ちなみにずっと私に楯突いてくるウンコ野郎は、私のことをボコしたアイツだ。
だが不幸か幸いか、こいつが私の頭を蹴りやがったせいで前世を思い出し、今の状況が実現している。まあ感謝はしないけどな!
「───た、助けて、ください…」
か細い声でそう懇願してきたのは、ウンコの取り巻きチキン野郎。
なんというか…コイツにはちょっと同情する。勿論こいつも腹立つし命乞いしてくんのもムカつくのだが、私と同じで一人では強がれない弱いやつなんだろう。
「で、どっち殺すんだ?」とナイスガイ。私は考えに考え、そして決断を出した。
『…じゃあ助けてあげるよ、チキンくん』
「チキ…?あっ、ありがとうございます!!」
『───呪霊から逃げ切れたらね』
「……………………え?」
『ほら、早く逃げなよ。這いずってさ。キミは腕折れてないんだから』
それでも固まって唖然としているので、私が呪霊用の笛を取り出すと、そこでようやくチキンは顔を恐怖に染め、ほふく前進のように回れ右をする。
そして数メートルほど離れたあたりで、私は笛を吹き指令を下した。”ソイツを殺せ”と。
「っあ゛あああ!!!い、いだっ、いだいい」
暗闇でよく見えないが、苦しそうな断末魔が刺すように聞こえてくる。
私は軽い調子で両手を合わせ、南無阿弥陀仏っ!と言った。
『…さて、じゃあこのクソクズウンコ野郎。縛り結ぼう、縛り』
指切りげんまんの手を作ってそう言うと、ウンコ野郎は友の死に涙を流しながら頷く。こいつらの間に友情があったのか、と驚いたけど、まあ知ったことではないよね!
ナイスガイは退屈そうに耳をほじっていた。
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アリス(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです( ˙˘˙ ) (2022年3月10日 23時) (レス) @page14 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ボーダーラインさん» そう言って貰えて嬉しいです!応援ありがとうございます!頑張ります! (2022年3月10日 17時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - キャプションで食いついて一気に拝読させて頂きました。あー主人公の性格好き!「下剋上して♡」の団扇とペンラを振りながら読んでしまった…。甚爾に最後で爆弾を投下していくスタイル、いいですねぇ。五条との邂逅も気になる〜!ペンラ振って更新待ってます!! (2022年3月10日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます!がんばります! (2022年3月9日 18時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 更新待ってます!! (2022年3月9日 5時) (レス) @page8 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝋燭 | 作成日時:2022年3月7日 21時