検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:15,564 hit

下剋上その0 ページ1

それは、頭部を勢いよく蹴られたことがきっかけだった。



「女のくせしてシャシャってんじゃねーよ」

「おいやめろってお前、死んじまったらどうすんだよ」

「はっ、これくらいで死ぬんならどっちにしろくたばるだろ」



この家でのカーストは生まれた時に決まる。男か、女か。たったそれだけ。
そして私は、後者に属す人間だった。



『い、だっ…ご、ごめんなさ……』

「ハハッ!モロに顔面クリーンヒット!」

「あーらら。綺麗なお顔が鼻血で台無し。せっかく顔はいいのになあ」



幼いながらの正義心に身をまかせ、いじめられていた黒髪の人を助けようとしたのが運の尽き。
相手は私なんかより何回りも大きい男二人だ。あっという間に返り討ちにされ、いじめの標的は私へと切り替わっていた。


痛い、痛い、痛い、痛い。
生まれて初めての激痛に見舞われ、恐怖か、それとも痛みからかは分からないが、とめどなく涙が溢れ出す。
見えないけれど、たぶん血もだ。



「…おい、そろそろ訓練の時間だ。油売ってないで早く行くぞ」

「お、ホントだ。早く行かねーと隊長に怒られちまう」

『ハー……ハー…………』

「このガキはどうする?」

「あ?ソイツに治療させときゃいいだろ。できるよなぁ?甚爾」

「……あぁ」

「ほらな。早く行こーぜ」



視界がかすみ、痛みで思考がぼやける。全身を取り巻くような激痛が、染み込むように私の体を蝕む。
あーあ…私、”また”死んじゃうのかな……。



(……”また”?)

「おいお前、大丈夫か」



自分自身でもわからない思いに、現実の世界から思考が遠のく。
”また”って何?なんでそんなこと考えたんだろう?私、一回も死んだことなんてないのに。

次の瞬間。唐突に私の頭に何かが流れ込んだ。
まるでせき止めていたダムが一斉に流れ出したかのような感覚に、思わず頭を抱える。

何、なんだ、これは。

私が驚愕の声をあげる間もなく、情報を処理しきれない脳が私の意識を断ち切った。

下剋上その1→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アリス(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです( ˙˘˙ ) (2022年3月10日 23時) (レス) @page14 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ボーダーラインさん» そう言って貰えて嬉しいです!応援ありがとうございます!頑張ります! (2022年3月10日 17時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - キャプションで食いついて一気に拝読させて頂きました。あー主人公の性格好き!「下剋上して♡」の団扇とペンラを振りながら読んでしまった…。甚爾に最後で爆弾を投下していくスタイル、いいですねぇ。五条との邂逅も気になる〜!ペンラ振って更新待ってます!! (2022年3月10日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます!がんばります! (2022年3月9日 18時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 更新待ってます!! (2022年3月9日 5時) (レス) @page8 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蝋燭 | 作成日時:2022年3月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。