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『…テヒョンくんこそ、何して』
振り向いて至近距離で久しぶりに見るテヒョンくんは、さっきまでの不機嫌な顔じゃなくて。どちらかと言うと、哀しそうな困った様な顔をしている。
TH「…とりあえず来て」
『…ちょ』
関係者席とは言え、それなりに人が多い中。背中に“STAFF”と書かれた真っ黒なパーカーを頭まで被ったテヒョンくんに半ば強引に腕を引かれながら、一番近くの扉から出る。
『ねぇ待って、』
TH「…」
私の問いかけにテヒョンくんは一切返事をせずしばらく歩き続け…やっと一つの控室の様な部屋に入ると口を開いた。
TH「もうすぐライブ終えて戻ってくるから、それまで絶対ここに居て」
『いや、ちょっと』
TH「今度は勝手に居なくならないでね、ヌナ…」
目が合ったテヒョンくんは、少し苦しそうな表情をした後で。
ガチャ…
『…これ、何?』
TH「…ライブの小道具?」
『え、いやそうじゃなくって』
TH「だってヌナ逃げちゃいそうだから」
ズボンから下がっていたハート型の手錠を、私の手首と控室のパーテーションに括り付けて。自分はそのまま入ってきた時のドアから出て行こうとする。
『テヒョンくん待って、これ取ってよ!』
TH「…後でね」
パタン…と無情にも閉まってしまったドアに向かってもう一度彼の名前を呼んでみたけど、もう遠くに走っていく足音しか聞こえなかった。
ーーーーーーーーーーーー
『はぁ…』
なんでこんな事に…。
ちょっと前まで彼等のライブを楽しんですら居たのに。今は誰も居ない楽屋の様な部屋で一人手錠に繋がれて軟禁状態。
叫んだり暴れたりした所で誰も来ないだろうし、なんかこの状態を見られるのも逆に恥ずかしい。
仕方ないのでテヒョンくんが戻ってくるまで大人しくこの部屋で待つ事にした。ガラガラとパーテーションを引き摺ってソファーまで移動する。なんか…情けなさ過ぎるな、この状態。
すると、ポケットに入れっぱなしにしていたスマホが震える。自由な方の左手で画面をタップするとジウちゃんからのメッセージが届いている。
“Aさん連れて行ったのってVさんですよね?!”
“今どこですか?”
“Vさんは戻ってきましたけど…もうライブ終わりますよ”
“ライブ終わっちゃいましたよ!今どこですか?!”
いや、私が知りたいよ。どこよ此処は。
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りさ(プロフ) - yu-さん» 勿論です😊読み返ししてくださってるんですね、ありがたいです😭✨また次の作品の準備してますので気長にお待ちくださいね💜 (2022年6月16日 7時) (レス) id: e7061fbc4e (このIDを非表示/違反報告)
yu-(プロフ) - 覚えていてくださり嬉しいです🥺♡感謝の気持ちでいっぱいです😊キミエンもヨンタンのお話も大好きです💜こっそり読み返しています🥰バンタンとりささんの新しいステージ、心から応援しています🙏🌷 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 4dff4cf25e (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - yu-さん» yuさんいつもコメありがとうございます☺️無事完結いたしました〜!yuさんのコメから着想を得たので、感謝感謝です。ずっと応援しましょう🌈✨そしてテテの現代劇?期待しましょう😁💜 (2022年6月15日 20時) (レス) id: e7061fbc4e (このIDを非表示/違反報告)
yu-(プロフ) - りささん💓完結おめでとうございます💐本当にテテに演じて頂きたい🥺素敵なお話、あとがきをありがとうございました✨次回も楽しみにしています☺️これからも彼らの健康と幸せを願い、ずっと応援します🌈 (2022年6月15日 15時) (レス) @page37 id: 4dff4cf25e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りさ | 作成日時:2021年10月3日 18時