甘いだけの話 改【短編集】

【クラピカ】もうひとつの ページ36

___お前の大事なものと引き換えに、仲間の命はくれてやる



最後に蜘蛛の頭が言ったあの言葉


まさかと思った



蜘蛛が潜入されてると見られた船に私と仲間たち、そして愛するパートナーAが潜入した


全ては蜘蛛を捕らえるため


私の、復讐のため


蜘蛛を捕らえるための作戦は順々に成功していって、大柄の男…フランクリンという男を倒そうとした直後だった


ク「…っく、A！！」


貴『いい！私に構わないで！！チャンスを無駄にしちゃダメ！！！』



フランクリンに捕まったA…


Aは蜘蛛に何の恨みもない



ただ私の恋人で、仕事上のパートナーというだけで私のわがままについてきてくれた



フランクリン「…いいのか？」



悪魔の囁きとでも言うべきか


男を逃せばAは助かる

男を殺せばAは道連れだが、私とAの目標を果たすことができる


そんなの悩むわけない。



ク「わかった、お前を逃がす！！


Aを寄越せ！！！」


目が赤く燃ゆる


驚いた表情のAと、Aを置いて逃げようとする男をとらえる


その瞬間だった



貴『…っ！！！！！』


目の前に血しぶきが舞った


男も驚いた顔で


私には容易に理解出来た



___私の復讐のために、Aが自分で護身用のナイフを胸に突き刺し、自分を犠牲にした



ク「Aーーーーーー！！！！！！！！」



もう次の瞬間から記憶はない


ただ気付けば、目の前には血を流し事切れている男と



ク「A…目を開けてくれ…！

A…！！A…！！！」


同じように瞼を固く閉じた彼女がいた


どれだけ胸をおさえようと止まることない赤と


手に響いてこない、生きる音


冷たい風が彼女と、自分の髪を揺らす



ク「うあ…ああ…


あああああああああああああああああああ！！！！！」



絶望の声


空に消える私の叫び声と、どうしようもない喪失感



この時私に与えられたのは



「彼女の仇」



という、もうひとつの復讐だった____

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