雨が止む頃に... ((ybhk))

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なんとも雨に濡れたい気分だった。


消し去れない感情を早く忘れたかった。




神様は時々..いや、いつだって意地悪だ。




“間もなく桃ヶ丘...桃ヶ丘です____ お降りの際は乗車する方のご迷惑にならないよう...”_____


電車の中に響く車掌のアナウンス

いつもと変わらず聞き流しているときのこと。




･「...ひか？」




どこかで聞いた..
でも知らないふりをしたいような...



あの日の声が聞こえてきた...





「...やまだ..？」

･「久しぶり...」

「...うん」

･「..何してんの？」

「...別に」

･「電車で会うの初めてだよね」



知らない制服
知らない声のトーン
知らない髪色
知らないつくり笑顔


知らない...なんて都合良すぎるのかな




･「大ちゃん元気？」

「うん、まぁ..」

･「学校楽しい？」

「..それなりに、ね」

･「友達できた？」

「うん..」

･「良かった..ひか、友達つくるの下手だったもんね」

「...」

･「...」



突然の再会に何を話していいのか分からず、

お互い黙り込む。



そんな沈黙を破ったのはやまだ。




･「...ごめんね」

「え..？」

･「あの頃にはもう..戻れないのに...」





.



なんとも雨に濡れたい気分だった。




知らないふりをしたかった。






大好きだったあの頃、隣にいたはずの君は



知らないふりをしたいほど、知っている人だった。




困り笑顔も、儚い横顔も、




全部...。






「...そうだね。もう戻ったりなんかしない」


･「うん」





お互い少しずつ知らない人になっていたんだ...

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