約束_62 ページ10
合宿5日目の夜
すっかり定番化した第3体育館での自主練で
今日も今日とてバレー馬鹿達の練習を眺めていた
「あ、ちなみにスパイカーと1対1の時は基本的に……」
なんて、練習の合間にリエーフとツッキーにアドバイスするクロに、ツッキーは少し疑問持っているようだった
「僕ら試合になったら敵同士ですよね。どうしてアドバイスまでしてくれるんですか?」
まぁ、至極当然の疑問だと思う
1番上を目指す上で、相手を強くするメリットはあまり無い
さぁ、ウチの主将様はなんて……
「ボクが親切なのはいつものことです」
「「「………………」」」
答えが気になって、翔陽君と一緒に話を聞きに来たけど
別に聞かなくて良かったかもしれない
「なにもそんな目で見なくても。え、Aまで?」
「胡散臭い」
「ヒドイ!!」
そりゃあ、ただでさえ胡散臭い顔と性格してるくせに
何を言ってるんだ、ってなるだろ
真意はともかく言葉が胡散臭い
「……”ゴミ捨て場の決戦”ってやつをさ、何とか実現したいんだよね」
「!」
ウチの監督の、昔からの念願
昔の話を、研磨から聞いた事がある
猫又監督との出会いがクロの”バレーにハマった瞬間”だろう
今、試合するのは自分達だというのに
この男、どこまで気を回そうとしているんだろう
「まぁ、俺の練習でもあるワケだし、細かいこと気にすんなっつーの。ホレ、練習練習〜」
ま、色んな意味で公式戦で戦り合いたいのは
監督だけじゃない、という事は確かだと思う
「わたしも観たいなぁ、”ゴミ捨て場の決戦”」
かくいうわたしも、その内の1人である
「!……その為には俺らだけじゃなくて、アイツらにも強くなってもらわないとな」
「だね」
ここから先、春高予選で負ければ、そこで終わる
できることなら、最後の最後まで勝ち残りたいものだ
お互いに、ね
休憩を挟みながらの3対3
”フクロウ”も、”ネコ”もちゃんと練習になっててすごいな
お〜、翔陽君ブロックちゃんと当たるんだなやっぱ
お、赤葦ナイスカバー、ラストは……
「うわぁ……”約190cm×3の壁”えぐぅ……」
いやもはやあれは壁じゃねぇ、傘だ
打つ場所なんて……
「って、…………天井に向かって打った?」
打ったボールはブロックアウト
狙ったのは恐らくリエーフの手の先
身長、わたしと同じくらいだよね
あぁ、やっぱり彼は面白い
その確信と共に、今日を終えた
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作者名:ama | 作成日時:2024年3月20日 1時