約束_61 ページ9
合宿の日々は目まぐるしい
今更だけど、マネージャーの仕事は思ったよりも沢山だ
ドリンクを作るのなんて初心者レベル
スコア付けに、他のチームを見て試合時間の確認
空いた時間にビブスの洗濯をし
練習時間には監督orコーチにボール出し等々
そりゃあ選手に比べれば論外だが
水分補給を怠れば熱中症レベルの活動はしている
「はい、ペナルティおつかれ!水分ちゃんと取れ〜」
森然に負けて坂道ダッシュから帰ってきた皆に
ドリンクとタオルを渡す
梟谷にはなかなか勝ち越せないのはそうだが
森然、生川にも勝ったり負けたりだ
「うぃ〜、サンキュー。お前も水分補給こまめにな」
「はーい。あ、日差しキツイから次からのペナルティはフライングだって」
「うげっ、1試合早く言ってくれよ」
「まず勝つことを考えなさいよ。次、ウチ休みね。ちょっと洗濯行ってくる」
「手伝うか?」
「大丈夫」
クロの申し出を断り、汗を大量に吸い込んだビブスを持って洗濯機がある方へ向かうと、同じく洗濯をしに行くであろう仁花ちゃんと一緒になった
「仁花ちゃん!洗濯?一緒に行こ〜」
「Aさん!お疲れ様でっ、っわ!うわぁぁあ!」
「わぁああ!仁花ちゃん!?」
小さな体で部員全員分のビブスを持つ彼女は
ちょっと躓いた拍子にそれらをぶちまけてしまった
「大丈夫?怪我してない?」
「すみません!すみません!!」
「大丈夫!ほら、拾ってさっさと終わらせちゃお?」
「はい!」
可愛い
こんな素直で可愛い子、そうそういないんじゃないか?
いいなぁ、烏野
「あ、そういえばさ、烏野いい感じだね」
「!!……はい!」
烏野は、前回の合宿とは空気が一味違う
何かしらあったのだろう
ツッキーが乗り遅れた感が否めなかったけど
自主練参加するようになって、ちょっと変わった気がする
「Aさんが言った通り、信じて良かったです!!」
「ううん。仁花ちゃんの気持ちが伝わってると思うよ」
バレーは1人じゃ始まらない
6人いるからどうにかなる訳じゃない
どうにかしたいって気持ちは、選手に限った話じゃない
「バレーって、いろんな面で、奥深くて難しいよねぇ」
「〜〜っ!はい!”痛気持ちいい”、です!!」
「わ、その表現素敵〜!」
合宿を通して交流を深めるのも、選手に限った話じゃない
青春してるのは、彼等だけじゃないのだ
664人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ama | 作成日時:2024年3月20日 1時