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約束_59 ページ7

メールの通りに階段で待っていると
少しして、お風呂上がりで寝癖の取れたクロが現れた



「おまたせ、わざわざ悪ぃな」


「ううん、わたしじゃ混ざれなさそうな話が始まりかけてたから助かった」


「へぇ、どんな話?」


「ん〜、その手の話?」


「どの手だよw」



第3体育館に向かいながら先程までの話をする

わたしの話を聞いて、隣でカラカラ笑うクロを見て
さっきの潔ちゃんの言葉を思い出す



『黒尾の事、どう思ってる?』



学校や合宿で何回か聞かれたことのある質問
今まで特にちゃんと考えた事は無かったけど……


どう、とはなんだろう

支えてくれる仲間、頼れる主将、大切な昔馴染み
どれも当てはまるし、違和感はない

でも、なんだか物足りないと感じる

昔馴染みという以外は、わたしだけじゃなくて
皆にとっても、だからだろうか

髪型のせいでいつもと違う雰囲気で歩くコイツに
わたしは何を求めているんだろう



「なーに、どうしたの。ジッと見ちゃって」



悩んでいると、クロが腰を曲げて目線を合わせてきた
しっくり来る答えが出なくて、クロを見過ぎていたようだ



「んにゃ、髪の毛ぺちゃんこだなって」



嘘ではない、これも思ってたことだ
嘘つくの苦手だし、多分この男には見抜かれる



「そりゃあ風呂上がりだからな。こっちのがイケてる?」



そう言ってニヤケるクロに
いつもだったら”調子のんな”って返すと思う

でも、今日は少しだけ、違う感じで話してみたい
主将とマネージャーじゃなくて、普通に、同級生として



「うん、って言ったら、どうする?」


「エッ」



あれ、固まっちゃった
返し方、間違えたかな



「あー、そうだな……、今日から両手縛って寝るわ」



と思ったら
今度は真顔でこんな事を言い出すから、笑ってしまう



「僕、真剣なんですケド」



なんて言うから余計に笑えた

確かに、世間一般的な目線としては
クロは寝癖が無い方が所謂イケメンになると思う

だけど……

この髪型は限られた人しか見れないから



「皆に見られちゃうのは、嫌だなぁ」



特別が無くなるのは、寂しいと思う

この気持ちの名前は、なんというのだろう




立ち止まってしまったクロの頭に手を伸ばす


昔はすぐ隣にあったのに、今は手を伸ばさないと届かない


あぁ、本当に、大きくなったなぁ




「どっちも好き。コレも、いつもの寝癖も」



そう言って、癖のつきやすそうな硬い髪を撫でた

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作者名:ama | 作成日時:2024年3月20日 1時

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