約束_57 ページ5
「私に手を出して、タダで済むと思ってんの！？」
男3人に囲まれてその威勢は尊敬するが
それどころじゃないだろ
アンタも、わたしも
「どーぞどーぞ、彼氏に言うなり、先生に言うなり、……好きにしろよ」
「こちら側としては、逆なんですけどね」
「そっちこそ、俺達の大事な仲間に手ぇ出してタダで済むと……」
ウチの同級生は本当に
常識人に見えて、ただの馬鹿ばっかりなんだから
放っておいたら、ろくな事にはならないんだから
だから、放っておけない
いつまで経っても、世話がやける連中なのだ
「何やってんのアンタ達！！」
その想いを胸に、人だかりを分け
その連中の筆頭であるトサカ頭に蹴りを入れる
「グハッ！ちょっ！なんで俺だけ蹴るの！？」
「言うなって言ったのにクロがバラすからでしょーが！自分達で揉め事起こして部活に支障が出たらどうすんのよ！！」
「納得してねぇって言っただろ！！」
あぁもう聞き分けの悪い！
いつもの空気を読んだ大人の余裕風な雰囲気はどうした！
「うるさい！とりあえず教室戻るよ！先輩方、授業前に騒がせてすみません！！ほら行くよ！！海と夜久も！！」
いつまでも先輩を睨み続ける3人を押し出して
最後に振り返り、その先輩を見据えて、言った
「先輩も、すみません。怖がらせちゃって。……昨日も言いましたけど、わたしに対して何しようがどうでもいいんですけど」
「「良くねぇ！」」
「ダメだよ」
「アンタ達は早く行け！……次、部活の邪魔したら、許さないですから」
失礼します、と言って3人と一緒に2年の階へと戻る
3人まだ少し、不完全燃焼というか、不服そうだ
「ったく、やっぱ部活前とかが良かったんじゃねぇか？」
「確かに、もう少しコソッとやれば良かったかもな」
なんて、夜久と海は未だにブツクサ言っている
それにしても……
「夜久はともかく、海は止めてくれる側だと思ってた……」
「いつもだったらね。でも、今回は話が違うから」
「好き勝手されて、黙ってられる訳ねぇだろ」
全く、学年が上がって少しは落ち着いたかと思ったのに
まだまだ中身は高校生だったようだ
「お前が俺達の事を思ってくれてるのは知ってる。けど、俺達だって、お前のことすげぇ大事なの」
「仲間だろ。もうちょい頼れよな」
「いつも支えてもらってばかりだから、少し不満だな」
皆はそう言うけど
いつも助けてもらってるの、わたしの方なんだけどな
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作者名：ama | 作成日時：2024年3月20日 1時
