約束_56 ページ4
逃げた彼女達を追いかけられたら流石に追いつけ無かったけど、クロはなんとか踏みとどまってくれた
「ホントに怪我してねぇ？何もされてねぇか？」
「うん、ちょっと叩かれたくらい。大丈夫」
「大丈夫じゃねぇだろ。危ねぇから1人で突っ込むなよ。俺とか夜久とか海とか、呼べよ」
「呼ぼうとしたんだけど、そしたら間に合わなかったかもしれないから」
投げ出された袋と、ついでに落としていってくれた部室の鍵を拾いながら、言う
この横断幕は、音駒の誇りなのだ
失う訳にはいかない
「……これ、主将に言うからな」
「それも大丈夫。鍵の事だけ、わたしから言う」
鍵を盗るような人間が身近にいる人に
皆が使うこの部屋の鍵は任せておけない
しばらくはわたしが持ってようかな
「お前なぁ……」
しかし、クロは納得する素振りを見せてくれない
さっきの怖い顔のままだ
「……あの人、自分の彼氏を誑かすなって、言ってた」
「はぁ？んな事してねぇだろ」
「うん、してない。けど、そう見えるらしい。変に事が大きくなっても困るし、言わなくていいよ」
「良くねぇよ。既に大事だわ」
まぁ、確かにそうなんだけど、それでも、だ
「とにかく、主将にはわたしから言うから。皆には内緒ね」
「納得、してねぇからな」
それでこの件は解決した
……筈だった
事が起きたのは、次の日の朝練終わりの時間だった
用事があって、クロ達よりも遅くに教室に戻ると
「A！大変！」
「え、どうしたの文ちゃん。そんなに慌てて……」
同じクラスの文ちゃんがやけに慌てて飛んできた
あれ、そういえば、先に戻った筈のクロと海の姿がない
まさか……
「黒尾達が3年生の教室に乗り込んでっちゃったの！！」
嫌な予感が、的中した
急いで3年生の階まで行くと
ある教室の前で少しだけ人だかりが出来ていた
「な、なによ！男3人で何の用！？」
人を避けて教室の前まで行くと、昨日聞いた声と
「いやいやパイセン、そりゃあないでしょーよ」
聞き慣れた声が聞こえて
見慣れた3人が1つの机を囲んでいる姿があった
「鍵の窃盗、貴重品が置いてある部室に不法侵入、オマケにウチの大事なマネージャーに暴力。普通に犯罪、です」
「それを黙って見過ごせる程、俺達、優しくないッスよ」
だから言いたくなかったのだ
こんな事の為に、怒ってほしくはなかったのに
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 664人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ama | 作成日時：2024年3月20日 1時
