約束_75 ページ23
研磨と電話した日から数日経ち、金曜日の放課後
今日、わたしは勝負に出る
来週の今頃は、明日に代表決定戦を控えている
クロの件を片付けるならば、今日しかない
幸いにも、今日の部活は体育館の点検により休み
明日は、午前中は他の部活が体育館を使う為、午後からだ
試合前に部活の時間が減るのは痛い、が、もう仕方ない
それのお陰で、事を起こせる時間ができたのだ
研磨の情報によれば、クロは今日、家に1人になる
わたしの予想が正しければ……
「Aー、帰りに飯行こーぜ。今日、家に誰も居なくてさ〜。研磨も誘うかー」
よし、予想通り!後は、作戦通りにやるだけだ
「いいよ。その前に寄りたいとこあるんだよね。いい?」
そう返しながら、研磨に”クロと帰る”とメッセージを送る
聡い研磨は、きっとこれでわかってくれる筈だ
「おー、別にいいぞ。あ、研磨は用事あるから無理だと」
「そっか。残念」
ありがとう研磨。今度アップルパイを買っていくよ
心の中で感謝を述べながら、帰る支度をし、教室を出た
「んで、どこ寄りたいの?」
「ビデオショップ。DVD借りたくてさ」
「へぇ、珍しいな。映画かなんか?」
「うん、ホラー映画」
普段であれば、絶対に観るのを避けるジャンルだが
残念ながら”観る理由”があるので、口実に使わせてもらう
「お前が?ホラー??え、頭打ったか??」
「その言い方だと、頭おかしいって言われてるみたいだからやめて。……この間、他校に友達できたって言ったでしょ?その子とホラー観に行く約束しちゃってさ……」
残念ながら、これは本当だ
できれば嘘であってほしいと今でも思ってる
「その練習しとこうと思って」
「家で1人でか?本当に大丈夫かよ?」
「多分、大丈夫じゃない」
最近のクロは確かにおかしい、が
元々クロの性格は世話焼きタイプなので、わたしがこう言えば、きっと心配してくれる
「約束、断れば?無理して付き合うことねぇだろ」
「断りたくないから練習するんでしょーが」
「でも、お前1人じゃ無理だろ?」
「うん、無理。だからさ……」
だから、本当に悪いんだけど、申し訳ないと思ってるけど
その性格を利用させてもらう
「1人じゃ無理だから、今日、家に泊まりに来ない?」
逃げられてしまうなら
逃げられない状況を作ればいい
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作者名:ama | 作成日時:2024年3月20日 1時