約束_71 ページ19
「次の組の方ー、準備してください!」
いよいよ、わたし達の番となった
反対側では、スタート地点でリエーフがスタンバっていて、その向こう側の応援席では、各部活で固まって応援しており、その中にはバレー部もちゃんといた
「Aさん!俺、黒尾さんに絶対1番で繋ぎます!」
「山本、熱くなりすぎ注意ね。リエーフが何かしでかすかもしれないから。……じゃ、行ってこい!」
「ウッス!」
山本を送り出した後、リエーフの方を見ると
近くに係の生徒がピストルを構える姿が見えた
そろそろ、始まるな
『位置について、よーい……』
ドンッ!
ピストルの音と共に一走者目が一斉にスタートした
「うぉおおおお!!」
おぉ!リエーフ、野球部と並んで1位タイ!
出だしは好調、だけど、すぐ後ろに陸上部が来ているから油断は出来ないな
「リエーフそのまま!いけー!……って、あれ?」
あれ、山本の事見えてる?バトン渡す気ある?
なんだかそのまま走り抜けて行きそうな気配が……
「リエーフ!こっちだ!!……って、おい!!」
予想は的中
相手を追い抜くことに夢中で、前にいる山本が全然見えてない。リエーフのやつ、熱くなりすぎてリレーってこと忘れてるな
「山本!キャッチ!リエーフ捕まえて!!」
わたしが言うのと、リエーフが山本の横を抜けようとしたのは同時だった
そこで輝いたのが、山本の反射神経である
「おいコラ!バトン寄越せ!!」
横を走り抜けようとしたリエーフの体操服を掴んだのである
「ぐへっ!猛虎さん!何するんですか!!って、バトン!」
「だからさっさと寄越せ!!」
ようやっとバトンは渡されたが
今のゴタゴタで最下位まで落ちてしまった
うわぁ、あれ巻き返せるかな……
「Aさんすんません!!リレーってこと忘れてました!!」
そしてこのデカいのはちゃんと気にするんだな
ったく、しょうがないんだから
「熱くなりすぎると周りが見えなくなるの早く直しなさいって言ってるでしょ!」
「うぅ……」
「まぁ、見てなさい」
「??」
不思議がるリエーフを横目に、山本の方を指差す
「後輩の尻拭いが出来てこその先輩でしょーよ」
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作者名:ama | 作成日時:2024年3月20日 1時