検索窓
今日:20 hit、昨日:729 hit、合計:71,151 hit

約束_64 ページ12

「おにぎり、おにぎり、ぎゅっぎゅっ、ぎゅぅ〜♪」



今日の試合が全て終わり
皆が待ちに待ったBBQまであと少し

この時間は自主練に当てる者もいれば
BBQの準備に勤しむ者もいる

わたしは後者だ



「おーおー、ご機嫌だな」


「あれ、クロ。自主練じゃなかったの?」



自作の歌を歌いながら食堂でおにぎりを握っていると
いつの間にかクロが隣に来ていた



「木兎に捕まりそうだったから逃げてきた」


「木兎に捕まると長いもんねぇ」



1週間、ただ隣で見ていたわたしでも思う
少なくとも、半分ぐらいは木兎に付き合ってるんじゃなかろうかと錯覚するくらいには



「じょーだん。ご機嫌なお嬢様のお手伝いに来た」


「……なーに。なんかやらかした?」


「んーん。今日の後半、皆の為に準備してくれてたマネージャーにお礼したくて」


「…………おにぎり握る?」




珍しい。なんか、ウン。やけに素直で。ウン。

恥ずいし、照れるから、やめてほしい


そんな心の内がバレないように顔を背けながら
隣に来たクロがお米を取りやすいように位置をズレる



「うおっ!思ったより難しいな!」


「ははっ、おにぎりって簡単そうで難しいのよ〜」


「ぐぬぬ……、めっちゃ崩れた……」



クロの大きな手で握られたおにぎりは
わたしが握ったのと比べると、確かに少し不格好だった

クロにも器用にできないことがあるんだなぁ、って考えたら、少し新鮮で、可愛いなんて思ってしまった



「それ、こっちのお皿置いといて」


「え、コレ出すのか?恥ずいから俺が食べていい?」


「ダメ。わたしが食べるの。コレわたし用のお皿だから」


「……Aちゃん、イケメェン」



皆のヤツで出すのは少し可哀想だし
かと言って、自分の為に手伝うと言ってくれたのに
それを自分で食べさせるのも気が引ける

なにより、わたしが食べたい



「じゃあわたしが握るから、中身の具、置いてって?」


「ん、了解」



わたしが両手に取ったお米の上に
クロがお箸で具を置いていく



「おにぎりは気持ちなのだよ。黒尾クン」


「そーなの?」


「うん。美味しくなーれ、って言うでしょ?」


「……なるほどなぁ」



気持ちがこもっていれば、嬉しいし、美味しくなる
食べる方も作る方も、食は人を幸せにするのだ



「雪絵ちゃん、あれは……」


「うん、潔子ちゃん、間違いない」


「「いい感じ!!」」



こんな会話をしてる2人がいたなんて、知る由もない

約束_65→←約束_63



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (106 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
664人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ama | 作成日時:2024年3月20日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。