昔馴染みとの約束_2 (ページ23)

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約束_52 ページ23

食堂が閉まる時間が近づき、自主練がお開きになった後

食堂に向かいながら、隣を歩くクロに声をかける

「気にしてんの？”メガネ君”のこと」

「んあ？……まぁちょっとな」

本当にこの男は、”気にしい”というかなんというか
世話焼きな性格にも程があるだろう

「何をどう捉えるかなんて人それぞれなんだから、仕方ないんじゃない？わたし達にとっては大した事じゃなくても、彼にとっては違うってだけだよ」

「いやーウン。そうなんだけどサ」

「1年の時に、嫌がるわたしにしつこくバレー部に入れって言ってきたのはどこの誰だったっけ？」

「改めて言わないで！？ちょっと気にしてるから！！」

「え、気にしてんの？」

これは意外だ
てっきり何とも思ってないかと思ってたのに

「そりゃあそうだろ。お前の気持ちを全部わかってやれる訳じゃねぇし……、想像もできねぇから」

「あの時だって、そう思ってたでしょ？」

「そうだけども。……嫌だったんだよ、お前がバレーを嫌いになりたくて、でもなれなくて、辛そうな顔してんの見るのが。まぁ、あの時は俺も子供っぽくて無理矢理感は否めなかったけど。何とかして、笑ってほしかったんだろ」

さっきも言ったけど、クロには人に踏み込む勇気がある
けど、後からこれで良かったのかって気にしがちだ

それを彼は、衝動に駆られた子供っぽさと言う
実際、クロ自身の欲望を叶えるための衝動なのかもしれない

だけど、その行動には責任を持とうとするし
その行動が、自分本位なだけではないと知っている

それが、黒尾鉄朗という男なのだ

夜久と、海と、わたしの目に狂いは無かった
これだから、わたし達の主将は彼なのだ

「……今までさ、皆を見てて辛くならなかったかって言われるとそうでも無い」

「！……そ、っか」

「別に後悔はしてないし、楽しいのも本当。でも、どうしようもない時はある。そんな時、踏ん張れたのはクロのおかげだと思う」

「俺の？」

「勿論、夜久達の支えもあるんだけどね。でも、立ち止まるわたしを、置いてかないで引っ張ってくれるクロがいたから、続けてこれた」

苦しかったらいつだって受け止めてくれた
しんどい時はいつも支えてくれた

繋がりは、バレーボールだけじゃないと、教えてくれた

「だからまぁ、あんまり気にし過ぎなくていいと思うよ。わたし達はまだ子供なんだから、失敗はするもんだよ」

この言葉が、大人であろうとする彼に伝わりますように