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約束_41 ページ12

「「ありがとうございました!!」」




高校最後のIH

わたし達音駒高校は、予選2日目に去年の優勝校と当たり
結果として、予選ベスト8止まりとなった




「…………ほい、皆おつかれ」




整列が終わって、監督の話も終わって

戻ってきた皆に声を掛ける




「……スンマセン!俺、最後、スパイクのコース入ってたのに……!」


「俺も、ブロック甘かったッス……!」


「山本、犬岡。反省は後でね」




こういう時、いつもならこれを言うのはわたしじゃない

全く……今は、それどころじゃないかもだけど
それじゃあダメなんだからね、

しゃんとしろ、という意味を込めて
”1”と描かれた背中に手を置く



「……だな。撤収すんぞ」




試合会場を後にして、わたし達は荷物を置きに学校へ戻った

悔しさからなのか、反省からなのかはわからないけど
そこでもやっぱり、皆の顔は暗かった



いつもなら


この雰囲気を察して、皆に声をかけるのはクロだ


自分を責める後輩達のフォローをするのは海だし


ウジウジした空気を嫌って叱咤激励するのが夜久だ



そして、

わたしの役割は……



”俺達が正常に動く為の、酸素”



他の3年生を見ながら
以前の、クロの言葉を思い浮かべる




皆が息苦しくなった時



「全員、集合」



息継ぎをさせてあげるのがわたしの役目だ




皆に聞こえるように声を張る

突然かかった集合に、荷物を持ったまま来る奴もいれば
部室からパタパタ走って来る奴もいた

全員が揃ったのを確認して、クロを呼ぶ



「え、何?」


「ジャージ脱いであっち向いて立って」


「はい?」



訳がわかってない顔のまま
言われた通りにして、クロはわたしに背を向けた

その小さくなった大きい背中に、自分の手を置く

そして……



「なぁに、セクハラ?今はそんな気分じゃ……」


「クロ、歯ァ食いしばんな」


「へ、」




バヂンッッッ!!



その手を後ろに引いて、思いっきりひっぱたいた




「っっ!!いっっっで!!ちょっ!何すんだよ!!?」


「皆にやってあげるから並んで。コラ研磨!逃げんな!」


「お、おい、どうしたんだよ?」



どうしたもこうしたも無い


これがわたしの役割だから


皆が息苦しくしてるのなら、わたしが呼吸させる

皆が滞っているのなら、わたしが立て直す

皆が立ち止まってしまうなら、わたしが引っ張る


運んでもらってばかりじゃいられない


わたしが皆に、息継ぎを、酸素を送ってやる

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ピンス(プロフ) - とても面白いです!!続き楽しみにしてます! (3月10日 23時) (レス) @page6 id: a7fb103bed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ama | 作成日時:2024年3月8日 17時

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