約束_6 ページ8
入学式から1週間
「Aちゃん！バレー部の見学行きません？？」
放課後、そう言って、帰り支度を済ませて席を立とうとするわたしの目の前に立ちはだかるトサカ頭
「行きません」
1週間、ずっとバレー部に誘ってくる
毎日毎日、凝りもせずによくやるなぁと思う
「俺、1人だと心細いなぁー」
「他に2人いたじゃない、新入部員さん」
「……俺、Aちゃんに着いてきて貰いたいナー」
「わたしは着いて行きたくない」
いい加減諦めてほしいものだ
「ちぇっ、しょうがねぇから今日のところは折れてやるよ」
「一生折れてていいよ」
「むーりーー。ところでお嬢さん、連絡先交換しようぜ」
「え、やだ」
なんて流れるようなナンパの仕方なのだろう
さてはコイツ……
「外でそういうことしてると通報されるよ？」
「ちげーよ！誰が変質者だ！……また急に音信不通になられても困るだろ？」
「なんで？クロが困ることあるの？」
「あるんですぅ〜。ほら、番号教えろ」
そう言ってスマホを差し出すクロ
これに関しては折れてくれそうにもなかったので
渋々、彼のスマホを受け取って、自分のスマホも渡した
「ついでにトークアプリの方も追加しとくぞ〜」
「ちょっと、人のスマホ勝手に弄らないでよ」
なんて呟いてる間に、手元のクロのスマホが震える
”新規メッセージ 1件”
「ほいOK。ブロックすんなよ？」
「気分によるかな……」
さすがに急にブロックはしないと思う
迷惑メールばかりだったらわかんないけど
「A、見学だけでもいいから来いよ」
「しつこいよ、行かない。そもそも……「黒尾ーー」」
わたしの声に被さって、すぐ隣の廊下から体を覗かせて
わたしの見知らぬ誰かが声を掛けてきた
「あ、わりぃ。話し中だった？」
「夜久、タイミング……」
どうやら彼は夜久くんと言うらしい
彼の荷物を見る限り、きっと目の前のトサカの仲間だろう
「全然大丈夫。これから部活だよね、どーぞどーぞ」
「ちょっ、……また明日来るからな」
そう言って夜久くんと共に
クロは部活へ向かった
「来ても変わらないよ」
残された教室で、誰にも聞こえないように呟く
そもそも、わたしはマネージャーには向いてないからね
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作者名：ama | 作成日時：2024年2月21日 12時
