約束_4 ページ6
「ほんと久しぶりだな。元気だったか?」
友達を送り出したクロは宣言通り
わたしと話していくみたいだ
開いた窓から、壁を挟んだままで
「まぁ、ぼちぼち……」
目を、合わせられない
どんな顔して話していたか、もう忘れてしまった
「ったくよ〜、いきなり手紙も年賀状も送らなくなったから心配してたんだぞ?おばさんからは毎年年賀状届いてたけどさ〜」
「じゃあいいじゃん」
「良くねぇよ!毎年、楽しみにしてたんだぞ、俺」
中学2年の春
クロからの手紙に返事を書くことも
自分から手紙を出すことも、やめた
何を書けばいいか、わからなくなって
楽しそうな手紙を、読むのが辛くて
やめた
「そかそか、ごめんね」
「軽いわ!ってか、髪伸びたな〜。前まであんなに短かったのに」
クロに手紙を出すのやめた時に
髪を伸ばし始めた
もう、切る必要無くなったから
邪魔にならないようにって
考える必要が、無くなったから
「前までって、いつの話さ。もう、8年も前だよ?」
「もうそんな経つのか、早いな〜」
「そっちは、相変わらずの寝癖だね」
「これ直んねぇのが最近の悩みだよ。つーかさ……」
”バレー、してねぇの?”
「っ!」
「ここ、女バレ無かっただろ?え、まさか創んの?」
聞かれると、思ってた
ここの男バレは昔強かったらしいから
あんたはそれを知ってて、ここを選んだのだろう
わたしも
女バレがないのを知ってて、ここを選んだよ
「…………辞めたよ」
「……は?」
「バレーは、辞めた」
だから髪を切る必要も
女バレがある高校を選ぶ必要も
無くなったの
「ふーん。じゃあマネージャーやってくれよ。男バレの」
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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時