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約束_28 ページ30

「猫又先生、これ、受け取って頂けますか?」


昼休み

先週ぶりの猫又先生に入部届を出しに来た

部長さんがいいかとも思ったけど
生憎、顔もクラスもわかんなかったから仕方ない

職員室ってやっぱり苦手。なんか緊張する
いや、好きな人はそんなにいないだろうけどさ



「おぉー引き受けてくれるのか!勿論、大歓迎だ」


「ありがとう、ございます」



わ、渡してしまった……

これでもう、後戻りは出来ない



「……お嬢ちゃん、バレーは好きかな?」



質問と共に細く開けられた猫又先生の瞳に

最初の会話を思い出した


あの時と違うのは、質問の中身と、わたしの気持ち



「……はい、とっても」



素直にこう言えるのは久しぶりだった



「ほっほっほっ。そりゃあ良かった。じゃあこれはお返ししよう」


「……これって」



先生から受け取ったのは
以前わたしが届けたファイルだった



「それは俺宛じゃあなかったからな」



意味がわからぬまま、とりあえず中身を確認してみる



「受験の時に書いた書類の、コピー?と、……あっ」



ファイルの中には数枚の書類と1枚の付箋

付箋には見知った字が書かれていた



「良い先生だなぁ」


「……本当に。……急用が出来たので、失礼します」


「あぁ。また放課後にな」



もう一度、深く、気持ちが伝わるように

頭を下げて

先生の元を後にした



次の目的地は

次の授業の準備をしているであろう我らが担任の元



あの人の科目は歴史だから、多分資料室にいるはず



「失礼します」


「おっ!天雲じゃん。どったの?」



わたしの予想は的中

風早先生発見だ



「これ、今度こそ本当に職権乱用ですよ先生」



そう言ってファイルを前に出す

中には、怪我によりバレー部を退部したことが書かれた書類



「あり、バレた?」


「猫又先生が教えてくれました」


「あんの化け猫ジジィ」


「先生」



そして




「わたし、男バレのマネージャー、やります」





風早先生から猫又先生へのメッセージ





「!……そっか。頑張れよ」





”猫又先生

 迷子になっているわたしの生徒に

 光を照らしてあげて下さい。

  1年1組担任”

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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時

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