約束_27 ページ29
クロに本音をぶちまけた土曜から日が経ち
週が変わって月曜日
わたしの目の前には隣の2組の女の子
確か皆から”文ちゃん”と呼ばれてる子
「天雲さんって中学バレー部だったんでしょ!?黒尾から聞いた!!ね、お願い!バレー部入って下さい!」
朝、教室に入って席に着いた瞬間に現れたと思ったらこれである
あ〜、ほんとにあるじゃん女バレ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『あ、ちなみに女バレないって嘘だから』
『…………はい?』
『俺と栞さんで考えた嘘。オープンスクールとかどうせ来ねぇんだろうから、バレねぇと思って』
『実際そうだったけど、そこまでする??』
『する。音駒に来て欲しかったから』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
土曜日の帰り際
わたしを家に送り届けてくれたクロの言葉を思い出す
そういえば、受験先を決める時
お母さんから熱烈なプレゼンをされた気がする
確かにろくに自分で調べたりしなかったけどもさ
「天雲さん?」
「え?……あぁ!ごめんなさい。考え事してて」
自分の浅はかな行動を反省するがあまり
ぼーっとしていたみたいだ
「お、珍しいじゃん。誰かと喋ってる」
話していると、どうやら朝練終わりらしいクロが
窓から覗いて話しかけてきた
「あ、黒尾!今、天雲さんバレー部誘ってんの」
「ほぉ〜、熱心だな」
と、こちらを見て「おはよーさん」と挨拶してくる
「……はよ」
あの日、結局どうするかは返さなかった
軽くなったとはいえ、決めるには勇気が必要だったから
「で、どう?天雲さん」
「あ……、え、っと、ごめんなさい。バレー、中2で辞めちゃって」
「え!?そうだったんだ…。じゃあ、マネは!?」
「えーっと……」
チラッと廊下から覗くクロを見てみれば
何も言わずにただこちらを見ていた
逆の立場だったなら
わたしは踏み込めなかったかもしれない
わたしにも勇気は必要だけれど
彼も勇気を出してくれた……はずだ
「それも、ごめんなさい。入る部活、もう決まってて」
だから、わたしも頑張ってみるよ
辛くなったら、また泣きじゃくるかもだけど
「男バレのマネージャーやろうと思ってて。ごめんね」
また同じものを追いかけてほしい言ってくれたから
クシャクシャの入部届を出して隣の男を見る
ねぇ、クロ
約束、覚えててくれて嬉しかったよ
言わないけどね
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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時