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約束_26 ページ28

黒尾side


東京に引っ越す前

俺には、幼馴染の女の子がいた


名前を天雲Aといって
明るい茶髪と大きな瞳が特徴の、よく笑う女の子だった



彼女とは幼稚園からの付き合いで
なんなら家が隣同士で、ずっと一緒に過ごしてたと思う



初対面の瞬間は覚えてないけど
仲良くなったきっかけは覚えてる


幼稚園に入って
一番最初に喋りかけてくれたのが彼女だった


どこにでもある、ありふれた出会い


当時、内気な性格で1人だった自分には

そんな出会いが

笑いかけてくれる彼女の存在が嬉しかった



8歳の時


『もう、クロと会えないの?』


いつも笑っていた彼女の涙を初めて見た

彼女は、自分が遠くに引っ越すことが寂しいと言う



強気な性格で、誰かと喧嘩したって泣かなかった彼女が

自分の為に涙を流しているのを見て

何か出来ないかと必死に考えた



そこで思いついたのが、”バレーボール”


男女共にチームを持ってるクラブに入っていた俺達の繋がりの1つだ



『知ってるか?バレー強くなると全国大会に行けるんだぜ』


『それがどうしたの?』


『俺達は同じチームでコートに立てないけど、両方強くなったら、2人で全国大会行けるんだ!』



”そしたらまた会えるだろ”、なんて

小さな自分が絞り出した幼い考え



『絶対、全国大会の会場で会おうな!!』



その言葉を聞いた彼女の笑顔を

俺は忘れないと思う



でも、大会会場ではなく、高校で再会した彼女には

あの頃の笑顔が無くて


バレー出来ないって知ってたけど

それを苦しそうに隠す彼女の顔を見て

どうにかしなきゃって思ったんだ



余計なお世話だって思うだろ?



でも、お節介かけて良かったって、思った

結果的に泣かせてしまったけど


嘘をつけない彼女が

隠すことなく見せてくれた心の奥



栞さんの前では見せなかったという涙

約束を果たしたかったという言葉

いっぱい流した後に見せてくれた笑顔



あの頃に戻れた気がして、全部嬉しかった



あの頃みたいに、無邪気に喜ぶことはしないけれど


俺、カッコつけたがりだからさ?

だから、この気持ちは内緒ね



俺達は少しだけ、大人になったから


だから、あの約束も大きくしよう


”夢はでっかく”って言うだろ?


これでも勇気出してるんだぜ?



「んで、目標ができたんだよね」




”全国制覇”




「俺と、俺達と一緒に全国制覇、目指そうぜ」



目の前のお前と、同じ想いで繋がっていたいから

約束_27→←約束_25



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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時

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