約束_25 ページ27
あれから泣いて泣いて、いっぱい泣いて
最後の方はもう何言ってるか自分でもわかんなかった
「おー、落ち着いたか?」
クロはずっと聞いててくれて
わたしが泣き止んだタイミングで水を買ってきてくれた
「ズビッ、…………ん。ごめん、ありがと」
「謝んなよ。俺が泣かせたみたいなもんだし」
「それは確かに」
「……ウン。そこは嘘でも否定してほしかったナ」
「あははっ!冗談だよ」
なんだろ
あれだけ泣いて、胸の内をさらけ出したからか
すごくスッキリとした気分だった
「去年の夏くらいか。栞さんから手紙もらってさ、お前の怪我のこと知ったんだ。黙っててごめん」
「いいよ。お母さんにそうさせたのは、多分わたしのせいだからさ」
お母さんはわたしがバレーをやめてから
色々、気にかけてくれてたから
「全部全部、どうでもよくなって、投げ出そうかなって考えたこともあったんだけどさ」
そんな事したら、お母さんを悲しませてしまう
「頑張ったの。リハビリも、遅れちゃった勉強も。頑張って、大丈夫だよって、安心させたかったんだけど……」
無理だったみたい、って笑ってみた
そりゃそうだ
怪我をしてから、色んな理由で友達は減った
わたし自身も暗くなった気がするし
学校生活の中で、わたしに不満を持つ人もいたから
そんなわたしを
ずっと見てくれていたからこそ
クロを頼ったんだと思う
「おかげで、クロと再会できたし。お母さんには頭が上がらないや」
「……言っとくけど、栞さんに頼まれたからって訳じゃねぇからな」
「ん?」
「俺だってAに会いたかったし、怪我したって聞いた時、会いに行きたかった。けど、……情けねぇけど、なんて言えばいいかわかんなかったんだ。だから時間がかかっちまっただけだから」
なんて、クロは言い訳がましく言うけれど
どっちだっていいのに、と思う
だって
結果的に、わたしの心は軽くなったのだから
「ありがとう、クロ。おかげでスッキリした」
「なんもしてねぇよ」
「素直に受け取りなさいよ」
本当に、今まで悩んでたものが
少しだけ、どうでも良くなった
本当は会いたくなかったって思ってたことも
誰かに不満を持たれていたことも
バレーボールが出来なくなったことは
やっぱりまだ、苦しいけど
なんて考えてると
わたしと目が合ったクロが口を開いた
「……俺さ、絶対果たしたい約束があったんだよ」
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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時