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約束_24 ページ26

知っていた、とクロは言った


じゃあなんでわざわざ言わせるの?


バレーが出来ないって、どんだけ苦しいか


それを自分で認めることが、どんな気持ちかも知らないで




「わかった風な口、きかないでよ!」




気付いたら、叫んでた




「バレーが、好きだったのっ……大好きだった!!


 練習がしんどい時があっても、


 夢中でボールを追いかける瞬間は、


 いつだって、楽しいって思えたっ!!」




クロと視線を合わせないようにしていた目から


涙が溢れてくる





「毎日毎日、練習頑張って!


 夢があって、目標があって!


 果たしたい約束があった!!


 なのにっ!!っ、なのに……」



そこまで言って、

膝の上で握りしめていた両手に、クロの手が触れて

顔を上げた


いつの間にか、わたしの目の前で屈んでいるクロと

そこでここに来て初めて、目が合った





「ちゃんと聞いてるから。ゆっくりでいいから。教えて?」





そう言って、悲しげに、優しく笑うクロを見て





「っ、なのにっ……出来なくなるなんて


 ……思わないじゃない……っ」





我慢、できなくなった




クロが引っ越して、離れ離れになってしまっても


バレーボールをしていれば、繋がっている気がした


クロも頑張ってるから、頑張ろうって思えた




その繋がりが消えたことが、ただただ苦しかった





「あの日のことを、後悔してる訳じゃないのっ……」



「うん」



「あの子が無事で良かったって、思って…、るんだよ?」



「うん」



「でも、なんでっ、なんでバレーだったの?」




そんな風に、思いたくなかった


男の子の両親もいっぱい感謝を伝えてくれて

いっぱいいっぱい、謝ってもらった


それを素直に受け取れない自分が、嫌だった




「バレーが、大好きだったはずなのにっ、


 出来なくなって、見るのも辛くてっ……、


 だから、逃げたのっ……」




そんな自分から目を逸らしたくて、バレーから逃げ続けた




「もっと、っ、やりたかった!


 頑張って、いっぱい勝って!


 全国行って!!」




クロはずっと、ただただ手を握ってくれてる

その手が、大きくて、力強くて




「クロとの約束、果たしたかった…」




今まで言わないようにしていたものも全部

受け止めてくれる気がした

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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時

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