約束_23 ページ25
黒尾side
お前からの返事を数ヶ月待ってた俺に届いたのは
別の人からの手紙だった
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鉄朗くんへ
覚えていますか?Aの母の栞です。
毎年、年賀状送ってくれてありがとう。
たまに貴方が送ってくれる手紙も、あの子はとても楽しみにしていました。
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「これが理由。激しい運動出来なくなったの」
やっと話してくれた、お前がバレーをやめた理由
「知ってた」
「……え?」
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最近、あの子が手紙返せなくてごめんなさいね。
あの子、男の子を助けようと階段から落ちて怪我しちゃってね、この間まで入院してたの。
幸い、Aも男の子にも命に別状は無かったのだけれど……
男の子を守ろうとして背中を痛めてしまったみたいで
バレーボール、出来なくなっちゃったの。
楽しみにしていた貴方からの手紙も、
読むのが辛いみたいで……
しばらくは返せないと思います。ごめんなさい。
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「知ってたんだよ、俺。おばさんから……栞さんから教えてもらって」
「は……?じゃあ、なんで聞いたの」
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こんな立場で申し訳ないのだけれど
鉄朗くんにお願いがあります。
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「お前の口から、聞きたかった」
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Aは高校生になったら、地元を離れます。
どこに進学するかはわからないけれど
もし良ければ、貴方が進学する高校を薦めてもいいですか?
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「お前が、バレー出来なくなって、見たくもないって言うんだったら、それでもいいと思ってた」
俺に、Aの気持ちをわかってあげられる訳じゃない
バレーが出来なくなるなんて、考えたこともない
だけど……
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あの子ね、バレー部も辞めちゃって、辛そうにしてるのに
私の前では泣いてくれないの。
私に、弱音を零してはくれないの。
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「でも、お前を見て、そうじゃないって思ったんだ」
だから誘ったんだ
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我儘なお願いになるけれど
どうか貴方に、あの子の声を、聞いてあげてほしいです。
お返事、待ってます。
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「じゃなきゃ、あんな顔して、”辞めた”なんて言わねぇ」
お前が諦めようとしてるなら
俺が、お前を諦めてやらねぇ
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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時