昔馴染みとの約束 (ページ24)

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約束_22 ページ24

歩道橋を渡り終わって
目的地の公園が目の前まできた時

「なぁ、さっきのさ、子供らを心配してただけじゃねぇんだろ？」

さっきから静かだったクロが口を開いた

「……なんのこと？」

本当にいつからこんなに鋭くなったんだ
そんなにわかりやすかったかな

「……バレー、なんでやめたか聞いてもいいか？言いたくないなら、言わなくていいけどさ」

そんな寂しそうな目をして何を言ってるんだろう

言わなくていい、なんて思ってないくせに

繋いだままの手にギュッて力が入ってるの、気付いてる？

”とりあえず座ろっか”って言って

公園のベンチに腰掛ける

繋がれていた手は、離された

「……怪我、したの。歩道橋から転がり落ちて」

できるだけ声が震えないように

できるだけ目を合わせないように

クロの顔を見たら、涙が溢れてしまいそうだから

「中2の春だったかな？

　
　学年が上がって、桜が咲いてたと思う。

　その日は部活が無くて、友達と帰ってたんだけど、

　寄り道しようってなって、いつもと違う道を帰ったの。

　さっきみたいな歩道橋を渡ってて、

　さっきみたいに小学生くらいの男の子が2人いて、

　走りながら渡って来てたの。

　元気だな〜、なんて呑気に考えながら見てたらさ」

目を閉じて、あの日の光景を思い出す

「前を走ってた子がさ、階段を降りる手前でコケちゃって、

　階段に頭から突っ込んでいってたの」

歩道橋の上ですれ違ったあの子達は

まだ小学校低学年くらいだった

危ないことが、危ないとわからなくても無理はない

「わたしがいた場所からは手が届かなくてね？

　気付いたら一緒に飛び込んじゃってた」

空中で無我夢中で男の子を抱き抱えて

とりあえず頭だけは守らなきゃって思って

気付けば路上にいて

体中が痛くて、動けなくなってた

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『怪我がこれだけで済んだのは不幸中の幸いです。
　ただ、背中を強く打っていて、日常生活に支障が出るかと…。リハビリをすればある程度回復して気にならなくなりますし、軽い運動もできるようになりますが……。少なくとも学生のうちは……』

”バレーボールは、もう出来ないでしょう”

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

誰も悪くない

あの子達もただ元気に走ってただけ

強いて言うなら

危ないよって、注意しなかったわたしが悪い