約束_21 ページ23
「あー美味しかった！！」
「お前、その体のどこにあれが入んだよ……」
クロが連れて行ってくれたお店は
お昼にランチを出してくれる喫茶店だった
華やかな感じじゃないけど
だからと言って古臭いって訳でもなくて
人が少ない訳じゃないけど全然騒がしくなくて
端的に言うとわたし好みで密かに興奮した
「えー、そんなに食べてないよ？」
「ランチセット(ハンバーグ)に加えて、ミートドリアとカルボナーラ食った後に、デラックスパンケーキ食べた奴が何言ってんだ」
「お腹空いてたもん」
「あー、ウン。もういいわ」
本当はもう少し控えようと思ってたんだけど
歩いたこともあってマジで空腹だった
あ、ちゃんと自分の分は払ったからね！
「なぁ、腹ごなしにもうちょい歩かねぇ？」
「お〜賛成。どこ行く？」
「近くにさ、広い公園があんだよ。座って話そうぜ」
あ、ちょっと雰囲気変わった
「……ん、いいよ」
大丈夫、ちゃんと話せる
クロと再会して
昔と変わったことも、変わってないとこもあった
もう関わりたくないって思ってたのに
こんな風に遊びに連れ出されてしまった
昔から、放っておくの、出来なかったもんね
首を突っ込むのは、変わってないとこだ
甘えてばかりじゃいられない
ちゃんと話は聞いてくれる、と思う
クロが受け止めてくれなくても、大丈夫
今日の思い出が
優しい彼が変わってないことが
嬉しかったから、大丈夫
「この歩道橋渡ったらすぐそこ。ほれ」
「……また繋ぐの？」
「お前、階段でこけそうじゃん？」
「バカにし過ぎだし」
でもまぁ、最後かもしれないから、甘えよう
もう子供のままじゃ、いられない
手を繋ぐことが特別だと感じるように、なってしまったから
階段を昇り終わって、後は反対側を降りるだけになった時
目の前で階段を駆け降りていく小学生くらいの男の子達を見て
足が、止まった
「ん？どーした？」
わたしが止まったことでクロの足も止まる
前の男の子達から目を離せない
クロからかけられた声に、反応できない
繋いでいる手に力が入る
「A？大丈夫か？」
クロから顔をのぞき込まれて視界が遮られて
やっと我に返った
「あっ、……う、うん、大丈夫」
「気分悪ぃ？」
「ううん。あの子達、見てたの。……ほら、子供って危なかっしいじゃん？」
「……そっか」
「ん。ほら、行こ？」
心配そうにするクロを、手を引っ張って誤魔化した
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作者名：ama | 作成日時：2024年2月21日 12時
