約束_14 ページ16
「お前ら仲良いんだなぁ」
「確かに、黒尾がそんな風に喋る女子は珍しいよな」
「！……え、っと、夜久くん？と……」
なんて言葉と共にクロの後から来た2人組
夜久くんと、隣の人は……
さっき体育館にいた、よね……？
「あぁ、5組の海信行です。よろしく」
「よろしく、です……」
仏のような笑顔に、ぎこちない笑顔で返す
海くん、なんて爽やかに話す人なんだ
「え、なに。A人見知りなの？」
わたしの挙動不審ぶりを見てクロが突っ込む
さも、面白い物を見つけたと言わんばかりの黒い顔で
「う、煩いな。人とそんなに喋らないから仕方ないでしょ」
「さっきまで暴言吐いてたその口で何言ってんだよ」
「……忘れてクダサイ」
あれがまさか口に出てたなんて思ってなかった
今度からは気をつけよう
「ははっ。天雲さんって話すと面白いんだな」
「夜久くん、からかわないでよ」
「それよか早く帰ろーぜ？あー腹減った」
というクロの言葉をきっかけにわたし達は学校を後にした
……が、
「あれ、みんな一緒なの？」
「途中まで一緒だよ。俺は最寄りのバス停まで」
「俺は電車乗るけど黒尾とは降りる駅が違うな」
「てっきりクロだけかと思ってた」
「なーにお嬢さん、2人きりが良かったの？」
「コンビニでなに奢ってもらおうかな〜」
「おいA、無視すんな」
だって、
2人きり”じゃなくて”良かった、の間違いだもん
今、マネの話を出されるとハッキリ断る自信がない
わたし、嘘つけないからさ
「……なぁなぁ、俺らも名前で呼んでいい？」
「……え？」
え、なに
夜久くんどうしたのいきなり
「いや〜、同学年だしさー。堅苦しくない？」
「確かに。黒尾が名前で呼んでるからつられそうだしな」
「か、海くんまで？」
堅苦しいも何も、わたし達ほぼ初対面じゃん
なんて返したらいいのかわからなくて視線を逸らせば
クロと目が合った
「いいんじゃね？お前が教室で誰かと喋ってるの見たことねーし、人見知り治すいい機会だろ」
いや、誰目線だよ
大きなお世話だよ
「……許可求めた訳じゃないし。………………ｲｲﾖ、夜久くん」
「ははっ、声ちっちゃ！……”くん”、いらねーよ、A」
「俺も、海って呼んでいいよ、A」
むず痒い
”友達”みたいに名前を呼ばれるのなんて、いつぶりかな
「……呼べたら、呼ぶ」
久しぶりだから、許してね
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作者名：ama | 作成日時：2024年2月21日 12時
