約束_10 ページ12
「と、とりあえず、用は済んだので!これで……」
「まぁ待て待て。ちょいと練習でも見ていかんか?」
「へっ?」
「お前達、次、スパイクだ」
「「はい!!」」
ちょっ、勝手に話が進んでるんですけど!
見て行くなんて言ってないんですけど!!
さっきからチラチラ物珍しい視線が送られてて
一刻も早くこの場を去りたいんですけど!!!
「あのっ!わたしっ「レェフトォオ!!」」
ドンッッ
「ライト寄越せぇ!!」
ダンッッ
時すでに遅し
反論する前にスパイク練が始まってしまった
「ほっほっほ。まぁまぁ座りなさい」
呑気に自分の隣にある椅子を示す猫又先生
断るタイミングを完璧に逃してしまったので
渋々、本当に渋々勧められた椅子に座る
「レフトォォ!!」
あ、クロのスパイクだ
ドッッ
あ、夜久くんに取られた
「コース甘ぇぞ黒尾!」
「やっくん空気読んで!!?」
なんてやり取を見ながら
大きくなったなぁ、と思う
そりゃそうだ
あの時から8年も経ったんだから
ネットが高くてスパイクが打てなかったあの頃とは違う
あんなに飛んで、あんなに力強く、打てるようになったんだ
まだまだ高校1年生
これからもっと大きくなるし、筋肉も付くんだろう
感動に似た気持ちと一緒に
暗い想いが胸に居座る
「お嬢ちゃんはバレーしたことあるかな?」
「……してました。中学2年の時に辞めましたけど」
「ほぉ?」
しょうがないんだ
止まったのは、わたしの方だから
「ほっほっ。理由は、今はいい。ところでお嬢ちゃん、」
”バレー、嫌いになっちまったのかい?”
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作者名:ama | 作成日時:2024年2月21日 12時