学園の不良グループ”蜘蛛” (ページ23)

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”本能”は”理性”よりも単純ページ23

「こんばんは、お嬢さん♣こんな夜中に1人かい？」

「人の話聞いてた？あんた誰だって聞いてんだよ」

赤っぽい髪に白い肌、長めの前髪の隙間に見える鋭い目付き
背丈は下手したらフィンより高いかもしれない

まだ夜は肌寒い季節に半袖Tシャツのそいつは
わたしの質問に質問で返してきやがった

噛み合わない会話は嫌いだ
無意識に眉間に皺が寄る

「ふふっ、君、いい目をしてるねぇ♠美味しそうだ♥」

なんて訳の分からないことを言いながら、わたしに手を伸ばしてくる

理性が言っている、コイツは”危険”だ

「ねぇ、僕と……」

本能が言っている、コイツは……

「楽しいことしよう♥」

”嫌い”だ

「残念。死んでも御免だよっ……ぅわっ」

気に食わないそいつの顔面目掛けて上段蹴りを仕掛けようかしたが、後ろからパーカーのフードを引っ張られ阻止された

「むぅ……。何すんのさ、シャル」

わたしを引っ張り、その厚めの胸板で受け止めたシャルに抗議を入れる
見た目より結構分厚いな……

「それ、こっちのセリフだから。ちょっと電話に出るだけでなんで蹴り入れる状況になってる訳？」

「僕がデートのお誘いしたからじゃないかな♠」

「………ナチュラルに会話に入るのやめてくれる？誰だよ君」

「変質者だよコイツ」

「彼女こと、少し借りようと思ってね♦」

あ、無視しやがったアイツ
実に不愉快、やはり嫌い

「ふーん。ま、どうでもいいけどさ、気をつけた方がいいよ。……後ろにね」

ﾋｭﾝｯ

「おっと♦」

「チッ」

シャルの言葉と同時に、後ろから現れたフェイの回し蹴りが空を切った

「おらっ！」

フェイの蹴りを避けた先にはフィンの拳が待ち構える
が、体を捻り器用に避けたその実体を掴むことはなかった

「ふふっ♠」

「クソが。ムカつく野郎だな」

え、てかいつの間に来たの！？
2人とも足音皆無だったんだけど！？

「いきなり殴り掛かるなんて野蛮だねぇ♥」

「通話中の電話から聞こえた会話から、”いきなり殴らねぇ”の選択肢を選ぶ必要はねぇな」

あ、そういえば通話中のままだったな
まぁ、わざとだけど

「おやおや♣頼もしいナイトが付いてるみたいだねぇ♦」

「いやナイトっていうかただの野蛮人「あぁ？」……冗談ですごめんなさい」

「うん、君達も面白そうだ♠また日を改めるとするよ♥」

「二度とわたしの前に現れるな変態！！」

そう叫んだ時にはもうそいつはいなかった
ムカつく、やっぱ嫌い