この花を君に 6

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登坂邸で
暮らすようになってから、
1週間が経った。



私の部屋は元々ゲストルームだったらしく、
なんとお風呂と洗面所とトイレがついていた。

収納はウォークインクローゼットで、
制服や普段着をしまっても
まだまだスペースがある。

食事以外はこの部屋で事足りてしまうので
ダイニングルーム以外のお部屋は
まだ見たことがない。

ここはお祖父様のおうちという意識がまだ強く、
部屋を間借りしているような感覚なので
他のお部屋を見るのは
気後れしてしまうというのもある。

広臣さんは他の部屋も
自由にしていいと言ってくださったけど
本人がいない時に
広臣さんの部屋を見るのは気が咎めるし、
当分はこのままでいようと思っている。





朝起きて自室の洗面所で顔を洗い、
制服に着替えて階段を下り、
ダイニングルームに赴く。

祭壇のお祖父様にご挨拶してから席に着くと、
富貴子さんが朝食を持ってきてくれるので
それを食べる。

和食ばかりだった岩田家とは違い、
登坂邸では洋食が多い。

今日は焼いたベーコンにオムレツ、
グリーンサラダ、クロワッサンにフルーツ。

可愛らしいレースのランチョンマットに
白いお皿で供される朝食はオシャレで胸が弾み、
味もおいしくて素晴らしい。



朝食を終えると
富貴子さんや他の使用人の方に見送られ、
笹野さんの車で学校に向かう。

相変わらず護衛の人に挟まれているので
窮屈だけど、
うちの学校は女子校ということもあって
セキュリティがしっかりしているので
校内に入ると自由に動ける。

授業を受けて放課後はまた護衛の人に挟まれながら
笹野さんの車で登坂邸に帰る。



アマリアさんのことは
まだ決着がついていないので、
自由に外を出歩くことはできない。

お祖父様のお見舞いに通うために
お花もお休みにしてもらっていて、
社葬が終わるまでは
小林家に行くこともできずにいる。

なのでお菓子作りに精を出したり、
フラワーアレンジメントの練習をしたりして
過ごしていた。

作ったお菓子やフラワーアレンジメントは
祭壇にお供えして、
お祖父様に見てもらうことにしている。

そうするとお祖父様が
すぐそこにいてくださっているような気がして、
悲しみが少し慰められた。

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