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「……我慢しなくていいよ」
低くて穏やかな声が聞こえて、
頭の上に柔らかな温かさを感じた。
ポンポン、と大きな手に優しく頭を叩かれて、
耐えていた涙がこぼれる。
声もなく泣く私を、
広臣さんも佐野さんも黙って見守ってくれた。
「すみません……」
ひとしきり泣いて、顔を拭いてからそう言うと
佐野さんは首を横に振った。
「いえ、大事な人を亡くしたばかりで
悲しいのは当たり前のことです。
登坂とは長い付き合いでしたが、
彼の最期の願いを叶える手伝いができて
私もうれしく思います」
そう言った佐野さんの表情は柔らかで、
心からそう思っていることが伝わってきた。
「それでは、私はこれで」
「あ、はい、ありがとうございました……」
「こちらこそ、まだ心落ち着かない時期に
お時間いただきすみません。
またしばらくして、お伺い致します」
席を立った佐野さんが一礼したので
同じように礼を返し、
帰っていくのをテラスから見送った。
泣いてしまって疲れたので
うさぎのお饅頭に手を伸ばすと、
広臣さんが自分のお皿を私の前に置く。
「あげる。甘いもん食う気分じゃないし」
別の方向に視線を向けている広臣さんの態度は
相変わらず素っ気ないけれど、
和菓子をもらえたのはうれしい。
広臣さんの分のうさぎさんも
ありがたく口に入れると、
広臣さんはちらりとこちらを見て
少しだけ表情を緩めた。
最近は無表情か
眉をしかめた仏頂面しか見ていなかったので、
微かでも笑顔を見られたことに驚いてしまう。
「……なに？」
「あ、いえ……」
広臣さんに自覚はなかったのかもしれない。
余計なことを言って気分を害するのが嫌で
言葉を濁すと、
「健ちゃん呼んで大丈夫？」と尋ねられた。
こくんと頷くと
スマートフォンを操作した広臣さんが
メッセージを送り、
山下さんと隆二さんがやってくる。
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月葉(プロフ) - いきなり失礼します！更新はもうなさらないのでしょうか？続き楽しみにしてました… (2020年5月17日 15時) (
レス) id: 1f27303c9f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - なおさん» コメントありがとうございます！臣くんピッタリと感じていただけてご本人様に畏れ多いですがとってもうれしいです♪できるだけお待たせしないよう更新がんばろうと思いますので、これからもどきどきして楽しんでいただけるとありがたいです！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - ゆかさん» 更新遅れがちですみません(>_<)どきどきしていただけてうれしいです！最後まで楽しんでいただけるようがんばりますのでこれからもよろしくお願いします♪ (2019年12月27日 22時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - aggyさん» 広臣さんがめずらしく天然な感じで、私もその部分はお気に入りです♪なかなか終わりまでが遠いのですが、そこまで楽しんでいただけるようがんばります！ (2019年12月27日 21時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なお - おもしろすぎて二回読みました！ほんとにドキドキします！私が想像している臣くんにぴったりでとても良いです！！とにかくこの作品がだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだーーーーいすきです！！！次回もものすごく楽しみです！ (2019年12月23日 14時) (レス) id: 8021a8f0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつめ
| 作成日時：2019年11月27日 18時
