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「挨拶。
これからここの主は
お前になるんだから、
何か声かけてやれ」
諭すようにそう言われて、逃げ出したくなった。
私のような子供が
こんなにたくさんの人の
雇い主という立場になってしまうなんて
責任が重すぎる。
そもそもこの人たちのお給料は
どうやって払えばいいのだろう。
やっぱり進学ではなく就職するべきだった、と
おろおろしていると、
見かねたらしい佐野さんに
こそっと「よろしくお願いしますと
言っておけばいいんですよ」と耳打ちされる。
「疑問に思うことがあれば
後で全て説明しますから」
そう言われて、ちょっと安心する。
「こちらこそ、よろしくお願いします」と
みなさんに頭を下げると、
富貴子さんが笑顔で頷いてくれた。
「お嬢様、
さっそくですが大旦那様にご挨拶されますか」
「ええ、ぜひ」
まだ四十九日は過ぎていないので、
お祖父様の遺骨はこの登坂邸に留まっている。
富貴子さんの案内で向かったのは
いつもお祖父様と見ていたテラスのある
ダイニングルームだった。
お庭がよく見える位置に祭壇が設えられていて、
お祖父様の遺影と骨壷が安置されている。
「すみません、
急なことでお供えを何も用意してなくて……」
「いえ、お嬢様がいらっしゃっただけで
大旦那様は大喜びしてらっしゃると思いますよ」
富貴子さんに優しくそう言われて、
涙が出そうになる。
目を強くつぶって堪え、
祭壇の前に座って手を合わせた。
お祖父様のおかげで
無事に家を出ることができた感謝と、
お供えを用意できなかったお詫びと、
これからこの館で
お世話になりますというご挨拶と、
庭園を美しく保つためにがんばります、という
決意表明をする。
心の中でお祖父様に話しかけるのは
一方通行でしかなくて、
答えが返ってこないことに
悲しみが込み上げてくるけれど、
泣くのは何とか堪えてご挨拶を済ませた。
手を合わせたまま一礼して立ち上がると、
広臣さんと佐野さんが
テラスにいるのが目に入る。
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月葉(プロフ) - いきなり失礼します！更新はもうなさらないのでしょうか？続き楽しみにしてました… (2020年5月17日 15時) (
レス) id: 1f27303c9f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - なおさん» コメントありがとうございます！臣くんピッタリと感じていただけてご本人様に畏れ多いですがとってもうれしいです♪できるだけお待たせしないよう更新がんばろうと思いますので、これからもどきどきして楽しんでいただけるとありがたいです！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - ゆかさん» 更新遅れがちですみません(>_<)どきどきしていただけてうれしいです！最後まで楽しんでいただけるようがんばりますのでこれからもよろしくお願いします♪ (2019年12月27日 22時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - aggyさん» 広臣さんがめずらしく天然な感じで、私もその部分はお気に入りです♪なかなか終わりまでが遠いのですが、そこまで楽しんでいただけるようがんばります！ (2019年12月27日 21時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なお - おもしろすぎて二回読みました！ほんとにドキドキします！私が想像している臣くんにぴったりでとても良いです！！とにかくこの作品がだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだーーーーいすきです！！！次回もものすごく楽しみです！ (2019年12月23日 14時) (レス) id: 8021a8f0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつめ
| 作成日時：2019年11月27日 18時
