この花を君に 6

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「……私にも、
見せてくれませんか」



お祖父様にそう言われたので、
ベッドテーブルを出して
その上にアルバムを乗せた。

最初のページから開き直すと、
咲き誇るバラに囲まれたガゼボの写真が
見開きで載せられているのが目に入る。

私を抱っこして歩いている広臣さんの姿が
小さく写っていて、
写真を見たお祖父様が表情を緩め、
「綺麗だ」と褒めてくださった。





お祖父様のために
1ページずつゆっくりめくっていく。

式場で、誓いのキスをしている私たち。

涙ぐむ私を愛おしそうに見つめて、
おでこをくっつけている広臣さん。

ガゼボで見つめ合いながら話していたり、
抱っこされていたり、
私が広臣さんのほっぺたにちゅーをしていたり。

どの写真も美しく、
これを見て私たちの婚約が偽装だなんて
疑う人はきっといないだろうというくらい
『ラブラブで幸せ』な雰囲気に満ちあふれている。

カラードレス3着分の写真も全て載っていて、
かなり分厚くなっていたアルバムを見終えると
お祖父様は満足げな表情で頷いた。



「ありがとう、Aさん」

「いえ……
こんなにたくさん撮ってたんだなって、
びっくりしました」

「ほんとはもっと撮ってもよかったけどな。
カラードレス3着じゃやっぱ少なかったわ」



広臣さんの言葉に
お祖父様は呆れたような表情を浮かべた。

ため息を吐いてもう一度アルバムに視線を移し、
そこに写っている私と広臣さんをじっと見つめる。



「写真だけでも、見せてもらえてよかった。
式を挙げる頃には、
もう私はいないでしょうから」

「……」

「あなたは、『岩田の娘』だから、
仕方なく広臣の元に嫁ぐのだと思っていた。
だが、こうして写真を見て、
そうではないと分かって、
安心しました」



そう言って、お祖父様は
力の入らない手を動かして
アルバムの装丁をそっと撫でた。

ベッドにもたれたまま顔だけを動かして、
私をじっと見つめる。

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