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「こんな死にかけの
老いぼれのために、
毎日病院に通ってくれる人を、
ないがしろにするな。
これ以上Aさんを苦しめるようなら、
化けて出るぞ」
お祖父様の声は弱々しく掠れているのに、
真剣に私を思ってくださっていることが
伝わってきて泣きそうになってしまう。
広臣さんを庇ってあげたいけど
涙がこぼれないよう耐えるのに必死で
黙り込んでいると、
気遣わしげにこちらを見た広臣さんが
私の背中に手を当てた。
そんな優しい振る舞いをされるのは久しぶりで、
ますます感極まってしまう。
「ごめん……
お前が信じてくれてるからって、調子乗ってた。
ごめんな」
「……」
「泣くなって……
じーちゃん見てるから
抱っこしてやれないじゃん」
そう言いながらも広臣さんは椅子に座ったまま
私の腰を抱き、
目尻ににじむ涙を親指で拭ってくれる。
これはお祖父様に私たちが仲よしだと
アピールするためにしていることで、
広臣さんがしたくてしている訳ではないと
分かっていても
久しぶりに感じるバニラみたいな甘いにおいや
広臣さんの体温にどきどきしてしまう。
だけど、こんなにくっついてくれるのは今だけで
病室を出ればまた素っ気なくなるに違いない。
そう思うと暗い気持ちになって、
お祖父様が心配なさると思うのに
明るい表情を作れない。
すると、私から離れた広臣さんが
「これ見て機嫌治して」と言いながら
私の膝に紙袋を乗せた。
「……これ、何ですか」
「開ければ分かる」
紙袋の中には
リボンがかけられた箱が入っていた。
それを取り出してリボンを解き、箱を開けると
『wedding album』と書かれた
白い装丁が目に入る。
中を開くと、そこには私と広臣さんの
ウェディングフォトがたくさん載っていた。
6月に直人さんが撮影してくれた写真は
どれも美しく、
広臣さんは信じられないくらいかっこいい。
その隣にいるウェディングドレス姿の人間は
紛れもなく自分なのに大人っぽく写っていて、
どきどきそわそわしてしまう。
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月葉(プロフ) - いきなり失礼します！更新はもうなさらないのでしょうか？続き楽しみにしてました… (2020年5月17日 15時) (
レス) id: 1f27303c9f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - なおさん» コメントありがとうございます！臣くんピッタリと感じていただけてご本人様に畏れ多いですがとってもうれしいです♪できるだけお待たせしないよう更新がんばろうと思いますので、これからもどきどきして楽しんでいただけるとありがたいです！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - ゆかさん» 更新遅れがちですみません(>_<)どきどきしていただけてうれしいです！最後まで楽しんでいただけるようがんばりますのでこれからもよろしくお願いします♪ (2019年12月27日 22時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - aggyさん» 広臣さんがめずらしく天然な感じで、私もその部分はお気に入りです♪なかなか終わりまでが遠いのですが、そこまで楽しんでいただけるようがんばります！ (2019年12月27日 21時) (レス) id: ffc639491f (このIDを非表示/違反報告)
なお - おもしろすぎて二回読みました！ほんとにドキドキします！私が想像している臣くんにぴったりでとても良いです！！とにかくこの作品がだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだいだーーーーいすきです！！！次回もものすごく楽しみです！ (2019年12月23日 14時) (レス) id: 8021a8f0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつめ
| 作成日時：2019年11月27日 18時
