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「……渡しなさい」
玄関のドアが閉まった途端、
厳しい表情を浮かべた母親が手を出してきた。
反射的に兄の後ろに隠れると、
「登坂さんの話聞いてた？」と
兄が母親に向かって呆れたような声を出す。
「肌身離さず持たせろっつってたじゃん。
電話かかってきた時
Aじゃなくてあんたの声が聞こえたら
あっちも興醒めだろ」
「そんなことは知りません。
スマートフォンなんて余計なもの、
Aには必要ない。
お母さんが許可した時以外は禁止します」
「だからさー、話聞いてた？
あんたってそんなに頭悪かったっけ。
わざわざ
『Aさんは登坂の人間だ』っつってたじゃん
あの人。
つまり岩田の人間の指図は受けないし
Aのことは自分の好きなようにするからなって
宣言したんだよ。
なのにあっちが用意したスマホ取り上げて、
登坂の心象悪くしていいの？
あんなに有望な金ヅルはどこ探しても
なかなかいないのにねー」
兄の言葉に、母親はぐっと詰まった。
今日もらったあの大金のことを思い出したのか、
応接間の方をちらりと見たその視線の卑しさに
吐き気がする。
「A、おいで。
電話かかってくるんなら
ちゃんと出られるように
それまで休んどかなきゃ」
母親をその場に残し、
兄はまた私の手を引いて部屋に連れて帰った。
ベッドに私を寝かせて、頭をポンポン叩く。
「お兄ちゃん……」
「ん？」
「あの、ありがとう。庇ってくれて」
お礼を言うと、兄ははにかむように笑った。
キラキラスマイルじゃない
素の笑顔なのはめずらしくて、びっくりする。
「あんなこと言って、後で怒られない？」
「今はもらった金を数えるのに
忙しいだろうから大丈夫でしょ。
それよりお前、スマホの使い方分かんの？」
「ううん、分かんない……」
「兄ちゃんが教えてやるから、貸してみ」
握りしめていたスマートフォンを手渡すと
兄は操作を実演してみせてくれた。
同じようにやれと言われて挑戦してみたけど、
子供用の携帯電話とは違って
ボタンはひとつしかないのに
画面に触れるといろんなことができて、
いちいち驚いてしまう。
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なつめ(プロフ) - omikoさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます♪また更新がんばります！ (2019年10月17日 18時) (
レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - 譲さん» ややこしいミスしてしまってすみません！そうなんです、腹黒なのは事実ですが実はいいお兄ちゃんだったんです笑 母親はひどいですよね(>_<)でもその分岩ちゃんが愛情を注いでくれました(^^) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - mikkyさん» コメントありがとうございます♪せっかくの溺愛ぶりを飛ばしていてすみません……！ちゃんと載せることができてよかったです(>_<) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - ユキさん» 想像するとたまりませんね(^^) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
omiko(プロフ) - 更新うれしいです(^^)ありがとうございます！ (2019年10月13日 16時) (レス) id: f68873c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつめ
| 作成日時：2019年9月13日 23時
