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「どうした、大丈夫か？
気分悪い？」
「……あ、」
「顔真っ青じゃん。おいで」
心配そうに声をかけてくれたのは
広臣さんだった。
私の体を抱え上げて、
「Aさんの部屋はどちらですか」と
母親に尋ねる。
戸惑った様子の母親が場所を告げると、
広臣さんは私を抱っこしたまま頭を下げた。
「具合が悪いようなのでお部屋へお連れします。
じーちゃん、話進めといて」
そう言った広臣さんが応接間を出て、廊下を進む。
確かな腕に抱かれて落ちる心配はないのに、
震えは止まらない。
自分で歩くべきだと思うのに体が強張って動かず、
されるがままになっていると
やがて私の部屋の前に着いた。
私を抱っこしたまま
器用にドアを開けた広臣さんが中に入り、
ベッドにそっと私を下ろす。
「もしかして、あの金のこと気にしてる？」
「……」
「元々あのくらい俺が出すつもりだったのを
代わりにじーちゃんが出しただけだよ。
これでもうお前は自由だから、大丈夫。
婚約破棄の慰謝料も
お前の手に渡るように手配するし」
ベッドの傍らにしゃがみ込んだ広臣さんが
私の髪を梳きながら、慰めるようにそう言う。
だけど、嘘でも平気だとは言えなかった。
「……私は、ほんとに、道具なんですね」と
思わず呟くと、
広臣さんが目を見開く。
「分かってたのに……
最近は、忘れてました。
いろいろなところに出かけたり、
新しい経験をしたり、楽しかったから。
でもそれは、
わ、私が、売られ、売られるためで、」
そこまで言って耐えきれずに涙をこぼすと
たまりかねたように抱きしめられた。
たくましい腕にぎゅうっと力を込められて、
苦しいのに切なくて、
子供みたいに泣きじゃくってしまう。
「ごめん。お前の前で
あんなことするべきじゃなかった。
そうだよな、あんなの、
金でお前を買ったのと同じだよな。
本当にごめん」
辛そうな声に謝られて、
広臣さんが悪い訳じゃないのに涙が止まらない。
大きな背中に手を回してしがみつくと、
広臣さんは優しく頭を撫でてくれた。
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なつめ(プロフ) - omikoさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます♪また更新がんばります！ (2019年10月17日 18時) (
レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - 譲さん» ややこしいミスしてしまってすみません！そうなんです、腹黒なのは事実ですが実はいいお兄ちゃんだったんです笑 母親はひどいですよね(>_<)でもその分岩ちゃんが愛情を注いでくれました(^^) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - mikkyさん» コメントありがとうございます♪せっかくの溺愛ぶりを飛ばしていてすみません……！ちゃんと載せることができてよかったです(>_<) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - ユキさん» 想像するとたまりませんね(^^) (2019年10月17日 18時) (レス) id: 273ec9fd08 (このIDを非表示/違反報告)
omiko(プロフ) - 更新うれしいです(^^)ありがとうございます！ (2019年10月13日 16時) (レス) id: f68873c807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつめ
| 作成日時：2019年9月13日 23時
